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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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The Hint Of The Storm-4

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―体中を悪寒に支配されて、腕も思うようにあがらない。寒くて仕方が無いのに…体は汗で濡れている。

「ほらァ!さっさと仕留めろや、このうすのろォ!」

腕が震えて、鎌が重い。体中が文句を言っている。でも、当てなきゃ…あの的に当てなきゃ、もっとつらい仕打ちが待ってるんだ…合わない歯の根を無理に食いしばって放った一撃は…やっぱり、外れた。

「ちっ…役立たずが。じゃあこっちだ、来い。」

今日はどっちだろう。鞭か。それとも…。



「脱げ。」



鞭ではない。鞭のほうが良かったと思うべきなのか・・・そう思っていない自分を、どう思うべきなのかも解らなかった。誰も教えてくれないから。



これは真似事。ただの遊び。意味のない…本当に意味のない、虚しい交わり。

無意味に広い壁一面に描かれた子供部屋らしい青空の絵。気球や風船が色とりどりに描かれて、天井から吊るされたレールには玩具の機関車が乗っている。沢山のぬいぐるみ、沢山の玩具。全て意味を成すことはない。部屋中を埋め尽くす凝った装飾は、僕らのためにあるのではない…澱みにとって、『子供部屋』というものの定義がこういう部屋だっただけだ。

“青空”はくすんで汚れ、所々に血痕があったりする。機関車だって電池はとっくに切れているし、ぬいぐるみも、切り裂かれたり轢き千切られていないものは稀だ。魂のこもっていないぬいぐるみの目が、僕を見つめていた。僕がぬいぐるみを見つめるのと同じように。





潤滑剤を使うだけの思いやりはないにしても、そのほうがやりやすいし、自らの得る快感が増すので、あのヒトはいつもそれを用意していた。

不思議な粘液の冷たい感覚には、いまだに慣れない。最初の一滴に身がすくむ。

このヒトにとって、この行為を満足行くものに終わらせなくては、罰は終わらない。彼が思う通りのリアクションを取らなくては。

下半身の異物感…どうしてこれが、自分の息を乱すのか…こみ上げる嬌声を生むのか、最初は不思議だった。そして恥ずかしかった。けど、今はもう気にならない。考えたら、それだけ時間が長く感じるだけ。

本物だろうが、偽者だろうが、われを忘れて身を任せれば、時間はあっという間に過ぎていくから。

このヒトの思う「交わり」とは、すなわち「奪う」ことだった。澱みが狗族に触れれば、否応無しに生気を奪われ、消耗する。終わった後の虚脱感は、重力に一切逆らえなくなるほど僕の身体を支配する。

…早く終わらせたい…早く眠りたい。

そして、僕は必ず彼の名前を呼ばなくてはならない。この時だけは、彼は「澱み」から「擾(みだす)」になれるから。過去も未来もない、澱みでも、人間を真似して失敗した偽者でもない「擾」という役になりきれる。


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