社外情事?〜鬱屈飲酒と意外情事〜-7
――気づけば、誠司は彼女と唇を重ね合わせていた。
誠司の目が、驚愕に見開かれる間に、唇がヌメヌメとした何かによってこじ開けられる。それが舌だという事に気づいた時には既に遅し。
口内に侵入した彼女は激しく暴れ回り、彼の口内を思うままに蹂躙していた。
「んちゅ……んぅ……ふ、んぅ、ちゅ……」
歯列をなぞる。
舌に絡みつかれる。
吸い込まれ、彼女の口内に招き入れられる。
「くちゅ、ちゅ……ん、ぴちゅ、ふ、ん……」
組敷かれているため、積極的に絡んでくる舌を伝い、彼女の唾液がたっぷりと流れ込んでくる。それは誠司の喉にまで流れ、条件反射的に嚥下してしまう。
「……んぅ、ちゅ……ぷはぁっ」
随分と経っただろうか。或いは数瞬のうちだっただろうか。
それさえ判断がつかなくなるほどの、濃厚な接吻。
始めたのが彼女なら、終わらせたのも彼女だった。
たっぷり味わい、散々口内を荒らし回った上で、彼女は唇を離す。舌なめずりをしながら誠司を見下ろした。その様子にはいかにも余裕が見られる。
一方の誠司は、濃厚な蜜の味に酔い、指先すらも動かせずにいた。焦点のあわない目が視線をゆらゆらとさまよわせ、淫靡な笑みを浮かべる女性の姿をなんとか捉える。彼の口が動き、囁くように小さな声で、彼女に問う。
「あなたは、一体……」
「私? ……レイと呼んで頂戴、『誠司』君」
「どうして、俺の」
皆まで言えなかった。
レイを名乗る女性は再び覆い被さり、脱がせかけていた誠司の服を、トドメとばかりに一気に剥いた。
「余計な事考えちゃダメ」
露わになった、男らしい筋肉質な体に巻き付くように、レイは自身の艶めかしい肢体をくねらせる。
素肌を通して直に伝わる、彼女の柔らかさ。そして自身の体を這い回るその動きのいやらしさに、誠司の意思とは関係なく、肉欲の象徴が鎌首をもたげ始める。
「一緒に気持ちよく……ね?」
主張し始めた熱根を指先だけでチロチロと弄びながら、レイは再び誠司の唇を奪った。今度はついばんだだけで、すぐに離れる。
そして彼女の体が、じらすような動きで下へ這っていく。
「あら……ふふっ。長さは人並みだけど、結構太い……それに、ちょっと皮被りなのね」
硬く太くなった勃起を視界に捉え、レイは上目遣いに誠司を見上げる。
「いっ、言わないでください。気にしてるんですから」
情けない声で文句を口にする誠司。そこに、拒絶の響きはない。浴びせられた快感の奔流に、彼も既に『デキ上がって』いた。
対するレイは「する気になってくれたのね」と嬉しそうに呟きながら、誠司の肉棒を両手でさする。
「大丈夫よ、私はこっちの方が好きだから……」
皮からはみ出した鈴口に、息を吹きかける。
「くっ」
喉の奥から声が漏れ出る。その反応を見たかったようで、レイは舌なめずりしながら指先で皮を摘む。
「だって、私がその皮を剥いてあげられるもの」
言葉を切り、少しずつ皮をずり降ろし始める。
「いつも手入れしてるの? ふふ、綺麗な色」
同時に、ぴくぴくと脈動する陰茎の先端に唇を近付け、鈴口に口付けする。
――ちゅっ
「ぅわっ」
「で、こうやって、皮を剥いてるそばから……」
舌を伸ばし、鈴口を一舐め。そして舌先を亀頭に押しつけたまま、少しずつ下へとずり落ちていく皮と亀頭の隙間に、舌先を滑り込ませる。
「ぁっ、まっ、待ってくださ……ぁっ」
ぴちゃ、ちゅぱ……れろっ
保護していた皮を剥かれ、外気にさらされた亀頭を這い回る、ぬめった熱。背筋を這い上がる電流の如き刺激に誠司は耐えられず、それを止めさせようとする。しかしレイは聞く耳を持たない。
「気持ちいいでしょう? 剥いたばかりのここを、んちゅ、舐め回されると……誠司君みたいな反応が返ってくるの。前に一度見てから、はまっちゃって……ん」
わざらしくと緩慢な動きで皮を剥き、充血した亀頭を何度も舐め回して誠司を悶えさせる。その上で彼を上目遣いに見上げ、嬉しそうに目を細める。
「いいわ……誠司君、気持ちいいのね。顔にしっかり出てる……こっちも興奮しちゃう」
潤み始めた目で息を荒げながら、片方の手を自分の股間に回し、もぞもぞと動かし始めた。次第に喉の奥から、艶っぽい吐息が吐き出される。
誠司の方はたまったものではない。ただでさえ亀頭を舐め回され、指先すら動かせない程の気持ちよさを味あわされているというのに、これでは――
「……レイさ、んっ……駄目ですっ。それ以上されると……っ、で、出ちゃいます……っ!」
――耐えられない。誠司は必死で声を絞り出し、レイに自身の限界を告げる。
するとレイは、ほとんど剥けていた皮の残りを一気にずり降ろした。
「いいわ……出して、んっ……全部、飲み込んであげる」
間髪入れず、外気に全てを晒した亀頭を口の中に招き入れる。