飃の啼く…第14章-9
「さくら…さくら…」
うわ言に、返事を返す。
「うん?」
「抱かせてくれ…」
そして、私の手を握ったまま、あっという間に上になった。
「酒が入りすぎた…それに「解放」の後で…いつもの己じゃない…。」
「うん。」
「少し痛くするかも知れぬ…だが…だが…頼む…暫しの間、忘れさせてくれ…。駄目だ…酒も効かない…お前でなくては…。」
私は、飃の頭を胸に抱いた。
「いいよ…おいで…。」
刺すような刺激に、思わずすすり泣くような声を上げる。飃の歯が、私の胸をかじり、舐める。手は、私の髪をつかんだまま。時たまぎゅっと引っ張られては、悲鳴を上げないように短く息を吸う。痛くなんか、ない。
「あっ…!」
もう幾つになるのだろう。首筋を強く吸われて、新しいキスマークがついた。
唐突に、私の裂け目にあてがわれたものが挿入ってくる。
「はっ…ぁ…!」
飃は、片手を私の腰に回して強く引き寄せた。奥まで貫かれて、あまりの強さにわれを失ってしまいそうになる。
「っァあ…あ…っ…!」
うつむいた飃の顔は見えない。
私はただ、癒すことも、慰めることも忘れて、ただ声を上げる。
「っ!」
肩に走る鋭い痛み。飃の牙が肉まで食い込む。私は、肯定を伝えるために、飃の頭を其のまま肩に押し付けた。
そう。私の肉も、血も…すべて貴方のもの…
温かい舌が、にじみ出る血を舐めとる。繰り返し、繰り返し…噛みついては、血を舐める。
痛みとない交ぜになった快感に、生じた震えが体中に伝染する。
「…ッ!」
飃は、甘噛みを繰り返しながら、首を上って私の口に行き着いた。私の髪をつかんだままの左手が解かれ、代わりに私の口に指が差し込まれる。私はそれを舐める。舌で愛撫するように。
「…ふ…っ」
そして、唾液で濡れた指が、私の胸を愛撫した。
「ぁ…っ…!」
飃の突きが、だんだん速さを増す。彼は、私の舌を、まるで私が口でしてあげるときのように吸った。そのいやらしさと、快感に、私は一気に上り詰める。