pure-1
「ヒロト」
ユキは後ろから誰にも気付かれないようにささやいた。二人のまわりには誰もいないのだが、ユキは自分のささやく声が好きだ。それに、ささやくことによって生まれる甘い雰囲気も好きだ。
「なんだよ」
けれど、ヒロトは至って普通の音量。ユキの気持ちには気づいてないらしい。
「ヒロト本当にあの映画つまんなかったの?」
「あんまり好きじゃないって、何回も聞くなよ。」
「それがなんでかって聞いてるのー」
「人それぞれあるだろ?あんまり執着すんなって」
「でもさー」
「でもじゃない。ほら、着いたぞ」
二人は自転車からおりる。ユキは荷台から。ふくれっつらをしてる。学校帰りに映画を見ていたのだ。その映画は遅い時間帯しかなく、いつもより少し遅い帰りになってしまった。
「だってあたしだけってイヤなんだもん…」
二人の高校の制服はセーラーに学ラン。闇夜に紛れているから、よほどちかくによらないと分からないだろう。
「そうか…」
ヒロトはユキの頬を空気が抜けるように掴むと口付けた。
「ほら、ごほうび」
「んん…なんのよ」
「おれのことそんだけ好きってことでしょ?嬉しいね〜」
「別にそんなんじゃなくて、あたしだけあの映画好きなの変かな?って思ったの。手ぇ離してよ」
「はいはい」
時計を見るとあと9時10分、電車到着まであと15分弱ある。
ユキは頬をさすりながらとなりの少し背の高い彼を上目で見る。
「ヒロト、帰っていいよ。もう遅いじゃん」
「危ないから!全く…強がって」
「強がってないよ。男なんてキン○マ蹴れば一発だし」
「女がそんな言葉使うなよ……それに、こうやって、後ろから抱きつかれたらどうすんだよっ!」
ヒロトは後ろから思いきり抱きつく。
「…キャッ!ずるい!」
「お前力ないんだから、蹴ったって痛くねーし!それに…こうすれば…」
「ちょっヒロトっ………んん…」
「…ほら、ダメじゃねーか」
ヒロトは優しくうなじにキスをした。そのまま耳元で優しく話す。
「それはヒロトだからだよ…ねぇ離して、恥ずかしいよ…」
「誰もいないじゃん」
「けど、誰か来るかも…」
「見せつければいいじゃん…てか」
「てか?」
「したくなっちゃったんだけど」
「……え!?したくなった…?…駅だよ!?」
「そうだね。でも我慢できない。今日するはずだったのにユキ遅刻したし」
「あ、…う…でも、明日もテスト週間だから会えるよ?うち誰もいないから…」
「やだ、今がいい。我慢してたんだから。ほら、痛いことしないからおいで」
「やぁ〜!!無理だよ!」
「無理じゃないって…もうこの時間だといつも人いないし、なおさらあそこなんか誰も来ないよ」
ヒロトは障害者用のトイレを指した。
「こ、来ないかもだけど、でも…」
「じゃあここでしちゃおっかな…」
「うあ!…やだ!…バカ…」
ヒロトはすばやくユキの短めのスカートの下から手をいれる。パンツの上から優しく撫でるとそこはすでに淡く濡れていた。
「…ユキさっきのだけでこんなに濡れちゃったの?ヤル気まんまんじゃん」
「ち、ちがうよ!さっきの、さっきの映画、ちょ、っとえっちぃ所あったじゃん…」
「それ見てこうなったの?」
「それと、ヒロトのキス…」
「ユキえっち〜ほら、したくないの?」
「あ、やあ!…」
優しく撫でていただけの指をすきまからいれて、指を挿入した。するりと難なく入る。
「ここに、ほしくない?」
そして上下させる。
「ほ、ほしい、けど…あぁ…ん」
「やだならやめるけど…本当にしたくない?」
「……ちょっとしたい、かも…」
ヒロトはやった!と後ろから嬉しそうに微笑んだ。
「ほら、おいで…」