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The last of the love.
【失恋 恋愛小説】

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The last of the love.-1

ストローでガラスのコップをかきまわす。

ジャリ…。

飲み終わったアイスティーの細かい氷だけが音をたてた。


15時32分…。
もう30分たつのに優斗は来ない。
『菜々ごめん、遅くなる。』
短いメールが一通、待ち合わせの数分前に届いただけ。

久々の約束。
なのにバイトだから遅くまではいれないと優斗は電話で言った。


『どうして?なにもなかったんでしょ』
思わずなじるような声がでた。

『人が足りないんだよ』

『断れたんじゃないの?私とだって…』

受話器の向こうで息をつくのが聞こえた。

『仕方ないだろ。今はほんとに足りないんだから、わがまま言うなよ』


せめて、せめて少しでも長くいてくれようとしてくれないのかな。
胸の奥が少し重い。悲しい。
このままじゃまた会うなり喧嘩になりそうだった。
…私たちは、最近うまくかみあわない。


優斗はそれから10分弱で現れて、謝ってくれて。
それは、ほぼ待ち合わせ時間になってから…メールをくれたぐらいに家をでたのかなって考えるにはじゅうぶんな遅刻で。
いくらバイトが遅くても、遅いのを考慮した上での15時だったのに。


私の最寄り駅は、特急がとまる程度にはにぎわったところで、いつもの遊び場所だった。

約束していた映画は、時間を調べてなかったけど幸いすぐに入れて。
吹き替えより字幕派の私は次を待ちたかったけど、ただでさえ微妙な空気を刺激したくなかったので素直にうなずいた。

遅刻したのは優斗なのに、私は気を使ってばかり。
暗い館内で時折光に浮かぶ優斗を横目でみる。


出会ったのは学校のゼミだった。
優斗から話しかけてくれて、少しずつ仲良くなった。

そしてクリスマスイブ。
誘ってくれた優斗に私は埋め立て地のテーマパークを提案した。
毎日のようにメールして、たまに電話して、何回か遊んで。
気持ちが分かるような分からないような、期待と不安で高揚してた時期。

ロマンティックな観光地は、皆同じことを考えていたようでいつもの数倍の人手があった。
それはもう入り口からでもすぐに分かって。
「ごめん…やっぱり混んでるね」
行きたいと言った手前、私は少し申し訳なさを感じていた。

「いいよ、待ってるのも楽しいしさ」
優斗は屈託なく笑った。


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