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The last of the love.
【失恋 恋愛小説】

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The last of the love.-3

映画が終わったら、映画館と連結したレストランで簡単に食事をして、感想を話す。

店をでると自然と手を握り合う。
私たちのルール。
何もないのに手をつながないなんて考えられなくなっていて。


優斗は前を向いたまま一言もしゃべらない。
沈黙が嫌で、私はつとめて明るい声をだす。
「クリスマスどうしよっか?」

「…もうそんな時期だっけ」

「そうだよ。ね、ディズニー行かない?」

「…今の時期は人が多いだけだろ」

「多くてもパスとって並んだり、パレードみたりとか…」

「そんな、わざわざ時間をムダにしにいくことないだろ」

言い切った優斗が眉をひそめて不機嫌そうにしたから、それ以上話せなくなる。
唇をむすんだ私をみて、フォローするように優斗が言った。

「飯でも食おうよ。
普段行かないような店でさ」

「…うん。楽しみ」

「適当に調べとくよ。
じゃ、そろそろ時間だから」

駅前。
未練を感じさせない声で優斗は手をはなして歩き出す。
その後ろ姿がすごく遠く見えて。
おかしいんだけど、もう戻ってきてくれないんじゃないかって気持ちになって。

「ね、優斗」
たまらず声をかける。
「ん?」
優斗は足をとめて、上半身だけ振りかえってくれた。
そう、足をとめてくれた。
そんな当たり前のことがうれしくて。


…私のこと、好き?


だから喉元までこみあげてきた言葉を飲み込んだ。

「…バイト、頑張ってね」

「おぅ」

一度もこちらをかえりみずに歩いていく背中。
最後まで眺めて、
ふと左手の薬指にはめたシルバーの飾りを外して裏をのぞきこむ。

『The love of my life.nana.』


くれた時の照れ臭そうな優斗を思い出して少し微笑んだ。
なぜだか胸がちくりと痛んだけど、いつもはめている指輪は私を安心させてくれた。

大丈夫、少し我慢すれば…。
私さえしっかりしてればまたやり直せる。
1年間付き合ってきたんだから、また同じ未来がみれるはずだから。

息をはいて方向転換する。
その拍子に、足早に歩いてきたスーツの男性と思いの外強く肩がふれあった。

カツーン…。

音をたてて地面に落ちた指輪は、少し不安定に上下に揺れてから静かにとまった。

慌てて拾いあげる。幸い傷はついていない。
体を起こすと改めて街並が目に入る。
星がかきされている都会の空は、それでもネオンできらめいて見えた。


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