The last of the love.-2
「菜々ともいろいろ話せるし。何に乗りたい？」
「…観覧車」
「いいじゃん、行こうよ」
走り出した優斗の後を慌てて追い掛ける。
けれどふいに優斗が立ち止まったので、軽く背中にぶつかってしまった。
「…どうしたの？」
「いや、はぐれるからさ」
そんな風に言って、優斗は私の腕をつかんだ。
列の後ろにつくころには、自然に手のひらを握りあっていて。
ドキドキして、顔をみれなくて。
結局、一番人気の観覧車は抽選で乗れなかった。
それでも私たちは適当に遊んで、
寒々とした海を寄り添って眺めて、
そして優斗が告白とキスをくれた。
私たちが友達じゃなくなった日。
どきどきしながら指輪を交換した私の誕生日。
バレンタインはべたに手作りのケーキで。
春、桜の下で寝転がって花を見て。
夏は海で泳いで、浴衣で花火をみて。
「こんなに一緒にいて落ち着くのは菜々が初めてかも」
最初から気になってたよ、って。
ずっとメアドを聞けたらとか話せたらって思ってたよ、って…。
私もそれに答えて優斗への好意を伝えた。
何回も繰り返された時間。
たくさんのメール。
うまくいかなくなったのは秋ぐらいだっただろうか。
「またバイトで飲むの？」
デートの後、居酒屋へ向かおうとする優斗に聞く。
夏から優斗が始めたバイトは同年代ばかりらしくて仲がいい。
バイトでの飲みにしょっちゅう行く優斗に、私は不安をかくせなかった。
女の子もいるんでしょ？
お酒が入るんでしょ？
いつも同じメンツなんでしょ？
ああいう派手な子たちのがいいの？
私はお酒が弱くてほとんど優斗とは飲めなくて、とめるのは引け目だったけど、回を重ねられると言わずにはいられなかった。
「付き合いだから、仕方ないじゃん。
俺のこと信じてないんだろ」
「でも…」
「彼女が心配するからって断った方がいいわけ？」
自分がおかしいのだろうか。
優斗が勝手なのだろうか。
しばらくして、それでも優斗はあまり飲みには行かなくなって。
頻度を減らしたかわりに行くときは黙っているようになった。
少しずつ少しずつ、たぶんそんなことをきっかけに私たちはずれていった。