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ヒトナツ
【コメディ 恋愛小説】

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ヒトナツA-6

その後はお化け屋敷。
ムフフな展開を期待していた俺だが、意外にも桜さんは怖がらずにいた。
でも、お化け(役の方)が飛び出すと、彼女はしっかり驚いてくれたし、ぎゅっと手を握ってくれた。

そして俺達は現在、子ども向けの小さなジェットコースターを攻略したところだ。

「健吾さん!早く早く!」
「へいへい」
彼女はどうやらジェットコースターが気に入ってしまったらしい。
俺達は少し離れた所にある大きなジェットコースターへ向かった。


「長い」
「長いですね」
そのジェットコースターは、この遊園地の目玉らしく、国内でもトップクラスのものらしい。
「さあ、行きましょう」
早速、桜さんは笑って俺の手をひいた。
だいぶ俺達はカップルらしくなっているらしい。
あー、幸せ。


僅かな待ち時間も談笑で有意義なものにし、ようやく乗車。
二人は隣合わせに座ると、どちらからともなく手を握りあった。
「……」
「……」
見つめ合う。
やば、キスできそ。
そんなことを考えた瞬間、コースターは動き出す。
すぐに最初の上りであり、一番高い地点を迎えた。
下を見ると、人が蟻のように見える。
予想外の高さだ。
嫌な予感が脳裏を掠めた。

その瞬間。

轟音を立て、猛スピードで落下する。
「きゃああああ」
「わぁああああ」
なんて、笑いながら二人して手を上げたのが間違いだった。
「…いゃあああああ!!」
「…ぎゃあああああ!!」


このジェットコースターは、俺達の想像を遥かに超えていた。


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