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A Footpoint
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A Footpoint〜Orign-1

「はぁっっっ?!雅黄、おまえそんな昔に別れてたのかよっ!!」


今夜は久し振りに小学校時代からの腐れ縁の一貴に、男二人で飲み明かそう!
と誘われ俺は一貴の新居にお邪魔した。

そして3本目の缶ビールを開けたばかりで少々酔い始めた一貴は、
懐かしい青春時代の思い出話を掘り出してきた。


「あぁ、もう7年も前なるんだな…」


歳月の流れとは恐ろしく、遅く感じているなと思っていたら、
あっという間に俺らは、もう社会人2年目を終えようとしていた。


「…お互い老けたよな…」


なんて、一貴をからかうとジジくさいとヤツは即答で一瞥した。

流石、小1から今まで俺の悩み事は、
ズバズバ俺の傷つく言葉でも言ってくれる、腹の底まで分かる親友だ。

だが、どうしてもあのことだけは、今まで隠したままでいた。


「もう俺は…そろそろ、招待状が来てもいい頃だと思ってたがー
俺にも言ってくれなかった、ってことは相当何か特別な理由でもあったのか?」

「そんな、特別なんてないって。それよりも、おまえ…気付いてなかったのか?!」


実は俺が言わなかったのは、一貴に察して欲しかったのもあったのだが…。

当時の俺からすれば、ガキみたいな行為で…それしか…
あとは手段として残されてなかった。


「全っ然。冗談抜きで、初耳だった」


あっさりと一貴に言われてしまい、俺は呆気にとられていた。

これ程の情報屋でも身近な人間の事を察知しなかったのは…

あまりにも俺らが別れてからも自然だったからだろうか?


「それより、今日は佳加ちゃんどうしたんだ?」


別に話を逸らす目的ではなく、あのお人好しな奥さんの姿が見えなかったのが、
急に不思議に思ったからだった。

何せ結婚してまだ半年という新婚ホヤホヤ夫婦だから。


「…実家だよ」

「ま…まさかもう離婚危機とか言うんじゃないよな、まぁ俺はいつでもおまえのー」


味方だからなと言おうとしたが呆気無く一貴に突っ込まれ最後まで言えずに終わった。


「バカ、何て縁起の悪い…あいつは故郷の村で旧友どもが結婚するから、それの
手伝いで戻ったんだ。俺もいけりゃよかったが、生憎、連休は昨日も仕事でな。
まぁ久々に羽でも伸ばして来いって俺が薦めたんだ」


やっぱ飲む相手を間違えたな、と一貴が後悔してかそうぼやくと、
もう3本目の缶もカラになってしまった。

俺はそんな一貴の飲みっぷりに感嘆しながらも成程と今日ココに呼ばれた理由を
やっと理解すると一貴はさっきよりいっそう深い溜息を漏らした。


「それじゃなきゃ、わざわざおまえなんか呼ぶか?」

「一貴ならしないね。奥さん居て俺呼ぶなんて耐えられないだろ?」


多方面に置いてと付け加えると、危うく一貴から右ストレートを食らうところだった。

だって…コイツ奥さんにベタ惚れだからな…。

そうして俺がいつのまにかいじめっこになっていると、
やられっぱなしでは終わらないのが、悪餓鬼大将クン。

今に後悔させてやると上目遣いに俺を見据えてきた。


「…で?おまえの方はどうなんだよ、まさか別れの原因は
大学別々になるのがイヤだったとか?」

「んな幼稚な理由じゃねぇって」

「じゃあ何なんだ?喧嘩もしたことの無いおまえらが…」
一度言葉を切り、一貴はグイっとビールを一気に飲み干した。

俺もやっと2本目を飲み終わろうとすると一貴は言葉を続けた。


「雅黄…おまえ、まさかー」


一層険しい顔をして、一貴はジッと俺を睨むように見た。

俺は暫く黙秘を通したが酒のせいかこの重い空気に耐えられず、半ば開き直りつつ
7年前の真相をポツリポツリ話すことにした。


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