Surprise-1
――――――――――――ドアを開けるとそこには結城君がいた。部活帰りなのだろうジャージを着ていたがそれすらお洒落に見えるのは彼だからなのだろう。
それより結城君がなぜわざわざ私の家に‥‥?
『急に来ちゃってごめん』
私は驚きすぎて声も出なかった。
結城が私の家に来る理由がまったく見当たらな…‥‥
あぁ‥‥
そうか‥‥
私の家に学校の人が来るなんて何年ぶりだろう。
いや、初めてかもしれない。他人の家にあまり行ったことがないため、一般的な家と何かずれが生じていないか不安になった。というよりそのずれを結城君に気付かれてはいないかとそっちのほうが不安になる。
『あのさ‥‥これ‥。』
やっぱり‥‥。
溢れそうな声を押し殺し、絞り出すように小さくお礼を言った。
玄関に出たとき涙が溢れしまった。
それを見られないように深くお辞儀をした。
部屋に入ると電話を握りながら蹲ってしまった。嗚咽をもらしながら泣いた。
もう二度と逢えないのだろうか‥‥。
私は拒絶されてしまったのだろうか‥‥。
きっと、そうだろう。
私はいつまで周りに迷惑をかければ気がすむのか。
佐倉さんを傷つけ、千葉君を待たせ、結城君に届けさせるなんて迷惑至極この上ない。
それなのに自分はこんなに傷ついて‥‥。
昨日も泣き、今日もこうして泣いている自分に嫌気がさした。
先程までに結城君が座っていた場所を見ると淋しさが込み上げてくる。一人でいることを実感させられて家を出た。
とにかく、一人でいたくない。
普段は駅周辺など人が多くて滅多に行かないが、今はその人々が私の孤独を紛らわせてくれる。
何もかもがどうでもよくなって貯金をすべて引き出し服から雑貨、本などを買い漁った。そうしてることで自分が誰かと関わっていると感じたかった。
買いすぎたと後悔する。
別に荷物が煩わしいからではない。煩わしいのはこの男。馴々しく私に声をかけてきたのだ。
荷物が多くて掴まれた腕を振りほどくことができない。どんどん引っ張られてだんだん人気のないところへ連れられる。