「one's youthful days」-2
「ウソ……」
「ウソじゃねーよ!それともウソのがいい?」
アタシは首を横に振る。
「じゃ、よろしくね?未央ちゃん?」
そう言うと、右手を差し出してくれた。視界がぼやける
「‥はい‥」
付き合う事を報告した時の友里驚いた顔、今でもよく覚えている。
リュウ君は部活が忙しいくて、デートは月に1、2回。
それなのに、この前のデートは映画は半分寝てるし、買い物してても《あーいいんじゃない?》しか言わないし。
…それにまだ一度も手を握った事が無いんだ。
友里は《大切にされてんだよ!》って言ってたけど、そうなのかな?
物思いにふけていると
「あっ、来たみたい!」
友里が廊下に2個上の彼の姿を見つけ、嬉しそうに立ち上がる
「いいなぁ、ラブラブで!」
「バカ!じゃまた明日!」
「うん、バイバイ」友里と別れた後、いつも通りリュウの教室に向かう。
少しでも一緒にいたくて、部活が終わるまでリュウの教室で待つのが日課となっている。
最初の頃は、グランドでサッカーをしている姿を見ていたが、「待ってるなら教室にしてくんない?」って言われちゃって。
あの時は、アタシと付き合ってるの恥ずかしいのかなぁって悩んだけど、ここならファンの子のキャーキャー声は聞こえないし。リュウ君の席座れるし…。アタシはここでいいんだもん!
そう思わなきゃ不安で押しつぶされてしまう…
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「おい!起きろって!!」
誰かが体を揺する
「ぅ…ん」
目を開けると、リュウ君の顔のアップが!
「ひゃあ!!」
「こんな所で寝んなよ!」
アタシったら…いつの間にか寝ちゃってたんだ。恥ずかしいぃ〜
「…えっと、帰ろっか!」
急いで立ち上がり、イスをしまう
「…わりぃ!雅樹とラーメン食べに誘われたんだ。だから先帰ってて」
「えっ…」
アタシ待ってたのに…それなのに、友達を優先させちゃうの?
でもこんな事言ったら嫌われちゃうかも…それはヤダ!!
「…アタシの事は気にしないで!」
ゆっくりと微笑む
「ごめんな」
リュウ君はそう言うと、足早に教室を出ていった。
ハァ…またやっちゃった。何で、思っている事を言えないんだろう…
自己嫌悪に陥る。
トボトボと廊下を歩いていると、リュウ君と同じサッカー部で親友の【雅樹】とぶつかる。
「わぁ!」「きゃ!」
尻餅をついたアタシに雅樹は手を差し伸べてくれた
「あれ?雅樹先輩何でここに…?」
「え〜?どうしてよ?」
雅樹先輩が笑っている
「あの、リュウ君とラーメン食べ行くんじゃ…」
「…そうそう!忘れ物しちゃってさ!」
一瞬、間が合った。嫌な予感がする…