投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 138 飃(つむじ)の啼く…… 140 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

飃の啼く…第12章-6

+++++++++++++



「あだま、いだぃ…」

がんがんと頭が揺れるたびに鐘が鳴る。揺れなくても鳴る。むしろ、四六時中頭が揺れているような気がする。飃が煎じてくれたあったかい薬湯を飲んで少しは楽になったけど、昨日の記憶はあいまいだった。せっかくのクリスマスに二日酔いなんて、ありえない…。おまけに記憶もない。

「何があったっけ…?」

そう聞くと、飃は耳をぴくっとさせて答えた。

「…あらためて酒の偉大さを思い知らされるようなことだ。」

にやりと笑う。長い犬歯が覗いて、意地悪っぽさが増す。

「ちょ…それって…」

顔が赤くなる。布団を顔まで引っ張りあげる。

「なんかヘンな事した?私?」

飃は厳かに首を振り、私を寝かせるとさっさと台所に戻っていった。

目をつぶって痛みに耐え、それでも不服そうな顔をする私の横に、飃は腰掛けた。

「お前がどんなことをしても、さくら。」

羽根のように優しく、私の額にキスをした。

「お前の全てが好きだ。だから心配などするな。」

そう言われちゃうと…何にもいえなくなるじゃない…

そこで、はめたままの指輪に気づいた。三つ並んだハート。愛のしるし。私はもう一度目を閉じて、テレビから聞こえるクリスマスソングに耳を傾けた。

「Although it's been said many times, Many ways: "Merry Christmas to you"…(何度も、いろんな方法で告げられてきた言葉ではあるけれど…『あなたにも、良いクリスマスを』…)」



「…メリー・クリスマス、飃。」


飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 138 飃(つむじ)の啼く…… 140 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前