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ヒトナツ
【コメディ 恋愛小説】

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ヒトナツ@-2

いや、すれ違ったときは仲なんてないけど。
まあ、そのとき知ったわけで。

あの清楚で気品のある…しつこいね。
まあ、そのとき恋に落ちたわけで。

当然、周囲からは無謀という言葉の矢が四方八方から飛んできたわけで。

しかし!脱ヘタレを目指すべく、俺は猛アタックし続けましたよ。

そして昨日、満を持して告白致しました。


“あなたが生まれた瞬間から、あなたが好きです!共にお墓に入っても、愛し続けます!”


正直、今では痛かったと自負している。
告白なんて中坊の時以来で、そりゃあ普通の緊張なんてもんじゃなかったから。
なんか口から昼食リバースしそうだったから。
おっと、お食事中の方、すいません。

というか、本当に俺はこう口にしたのか?

少々、いや、かなり話が脱線した。

しかしあれだ、なぜか彼女、桜さんは俺の告白を受け入れてくれた。

たぶん、俺のことを知っている人はほぼ全員、驚いただろう。

あ、いや、言っておくけど、俺、ルックスは意外にも悪くないらしいです。数少ない女友達曰く。
ただ内面があれだと。
まあ、そこは自覚してます。
再び、話は脱線。
まあ、とにかく俺と桜さんは、めでたくカップルになったというわけ。


「健吾くん」
「はひっ?」
おっと、頭の中で独り言を語っていたら、突然の不意打ち。
「な、なに?」
「……私が健吾くんの告白を承諾した理由、わかりますか?」
「え、あ、いや、はは、わかんないです」
まさかの展開に動揺してしまう俺。
さすがヘタレ。
「……そんなところがいいんですよ」
彼女はクスリと微笑んで、穏やかにそう言った。

やばい、うれしくて死にそうだ。

なんていい子なんだ、桜さん。
もう、川に飛び込みたい。

このとき、俺の口元はだらしなく開いていたと思う。


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