reality ability‐第4話‐南の草原、wind grassland‐-4
‐数分後、西側の正門近く‐
二人の影、皇希と凰輝。
「道案内は終わり。‥‥皇希君、死なないくれよ?」
「わかってます。」
凰輝は歩こうとした。しかし、止まった。
「‥‥気が付いた?」
「‥‥何がですか?」
凰輝は主語を言ってない。皇希には当然ながら解らない‥‥いや、凰輝を見ていた表情から解ってはいるようだ。
「‥‥‥」
「凰輝さんは真実を知っているんでしょ?というか、聞かされたはずです。」
皇希が睨み始めた。
「‥‥さぁ?知らないけど?」
凰輝の表情は変わらない。知らないのか?もしくは‥‥
「嘘を付くならいいです。‥‥そっちも死なないでください。」
「‥‥任せて貰うよ。」
凰輝は歩く。南側の正門へと。
‐時は戻り、現在‐
依然として山道を進んでいた。道なき道を歩く。いや、踏まれた跡があるから道だろうが、獣道だ。歩きづらい。
「‥‥‥辛い。喧嘩の方も‥‥“真実”の方も‥‥」
知っていたようだ。何故、嘘を付いたのだろうか。その瞳には目の前の道だけが映し出されていた。
《‥‥しかし、後ろにいる“奴”は何者?“神”‥?いや、“人間”??‥‥》
‐凰輝後方の道‐
「‥‥バレてるかな〜。いや、問題無い。“正体”がわかってないようだしね〜。流石は神城 凰輝‥‥」
謎の人物だ。男なのか、女すら解らない。口調がコロコロ変わるからだ。姿も山道特有の木によってよく見えない。
‥‥某探偵の犯人のシルエットだと思えるほどだ。‥‥Vサインしても困ります‥‥。
‐話は戻り、本編‐
しかし、凄い山だ。頂上に草原。しかも、広いらしい。すると、凰輝の前にやっと頂上が見えた。凰輝は一気に駆け上がった。
「!!!」
〈ヒュン!ヒュン!ヒュン!‥‥〉
と当時に一斉の矢が凰輝目掛けて飛んでくる。凰輝は避けるが、次の攻撃が待っていたようだ。剣での接近戦だ。
「くっ!」
〈ヒュン!ギィン!ヒュン!ギィン!‥‥〉
だが、凰輝は見事に受け止めた。敵は少し離れた。全員があの“禁断詠唱”の紋様があり、強化版の方だ。
「‥‥厳しいな。はぁはぁ‥‥」
弱気だった。それもそうだろう。辺りには二十名ほどいたからだ。