reality ability‐第4話‐南の草原、wind grassland‐-14
‐時は戻り、現在‐
凰輝は不思議な事を思った。だが、直ぐに解ったようだ。
《‥‥そうか。【真】の事は……だからか。》
「おい。凰輝!何を考えている?」
羅紅が凰輝に呼び掛ける。数分間経っていた。
「ん?‥‥いや、何でもない。」
「そうか。‥‥で、これはどうする?」
羅紅は一つの腕輪を取り出した。その腕輪は少し輝いていた。どうやら、“記憶の欠片”らしい。
「“記憶の欠片”か?預かっておく。」
「解った。」
羅紅は凰輝に“記憶の欠片”を手渡した。
「お前の事は俺がなんとかする。」
「済まない。」
羅紅の表情が曇る。流石に不安が隠せないようだ。敵対した自分に何が起こるのか、予測が出来ないのだろう。
「落ち込むな。“神”とて迷うさ。失敗する事を恐れて逃げるより、挑む事が重要だ。ある人物に教えられた。」
「‥‥ふっ!‥‥そうだな、俺もこれはいい経験になったと思うべきか!」
「ああ!‥‥ふっ‥‥はっはっはっ!‥‥」
「‥‥ふっはっはっはっ!‥‥あーはっは!‥‥‥はっはっはっ!」
二人は笑いながらも歩いていく。この出来事で二人の友情はより深まるだろう。二人の未来は明るいかも知れない。この笑顔がある限り。
何はともあれ、これで三つ目。仕組まれた戦いなのか、それとも、単なる必然なのかは解らない。凰輝のあの一言の真実は‥‥?
しかし、この先の戦いで負けは許されない。負けは人間や神、‥‥いや、世界の滅びを示すからだ。この戦いに祝福の光を‥‥。
続く