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fantasy ability
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reality ability‐第5話‐西の洞窟、death cave‐-1

‐西門の扉前‐

皇希は扉に背中をつけて立っていた。一体、何をしているんだろうか。

「‥‥お前は‥‥?」

突然、独り言を言ったと思ったが違った。数秒後、返答があったからだ。

「‥‥う〜ん‥謎の人物かな‥‥」

そう、謎の人物が居た。謎の人物も背中を扉につけていた。やけに嬉しそうだった。口元が笑っていた。が、いつもながら日陰でよく見えない。

「‥‥‥」
「‥‥聞かないの?正体を?‥‥」
「聞いたって答えてはくれないだろう?‥それに知っているしな。」
「‥‥そうかな?違ったりしてね?‥‥」



「‥‥喋り方が変だ。やめろ。」
「‥‥む〜り。だってねぇ、“二人”だもん。‥‥“オレ”と‥‥“ワタシ”‥‥」
「‥‥‥」

今、解った事が一つ。謎の人物は二重人格のようだ。しかも、男と女の人格なのだろう。

「‥‥この一つは自分の実力次第だ。さっさと行けばいい‥‥」
「お前は何故、“あの人”を許した?」
「‥‥知っているだろう?山崎 皇希?‥‥」
「っ!」

皇希は銃を素早く出し、扉の向こう側の謎の人物を狙い構える。

「‥‥やめとけ?当たりはしないよ?‥‥‥‥。だって、行動に隙がありすぎ。‥‥」
「とりあえず、そいつを黙らせろ。」
「‥‥解った。オレも賛成だ。え〜、意地悪な人たち〜。‥‥‥。‥‥解ったわよ。黙るから‥‥」

しかし、皇希は銃を構えたままだった。殺気とそれとは違う雰囲気を放っていた。

「お前はオレを殺せないと知っているだろ?」

謎の人物を急に口調を変わった。いや、これが男の人格の本当の口調なのだろう。

「解っている。‥‥許してはいる。だが、“愛”を捨てた“あの人”を俺は嫌いだ。」

“あの人”とは誰の事だが、さっぱり解らない。が、二人の会話は成立していた。

「ふっ、“力”が無ければな?いや、“真実”を求めている時点で“運命”は変わらないか。」

謎の人物はまるで最初から知っているように言った。

「お前らに俺の気持ちは‥‥‥って、‥知っているか。」

一方、皇希も呆れたように言った。謎の人物の事を最初から知っていたような皇希だった。

「始まりと終わり、お前はどちらを望む?」
「‥‥‥」

謎の人物の問いに皇希は答えなかった。その時の表情はどこか寂しく思えた笑顔ようだった。


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