0センチ。-4
『ちっ‥千葉くんっ!!』
腕のなかに俺の一番愛しい一番大切な、一番好きな人がいる。
華奢でもっと強く抱き締めたら折れてしまうんじゃないかと思った。
ずっとこうしたかった。
初めて君を見つけた日から毎日が君でいっぱいだったんだから。
「俺、今までいろんな人に嘘ついてたんだ。圭佑にも優衣にも‥‥自分にも‥。でもみんなそれに気付いてて、それでも俺のこと突き放さないでいてくれた。突き放すどころか正直になれってここまで導いてくれたんだ。それでやっと‥この距離までこれたんだ。」
彼女から離れてまっすぐ見つめる。
まだ少し照れていたが、彼女もまっすぐ俺を見てくれた。
一息ついて告げた。
「俺は世界の誰よりも山田紗雪が好きです。これまでもこれからも変わらず好きです。」
みるみる顔がさらに紅くなってゆく。
あらら、耳まで‥‥
と思ったら突然、彼女は後ろを向いて肩を少し震わせながら走りだしてしまった。
えっ‥‥?
えぇっ!???
逃げましたよね‥‥?
やっぱり俺ってこういうポジションなのか(泣))
好きな人に告白して逃げられるとか‥‥‥
泣いていいですか?
‐続‐