jam! 第3話 『その日、僕の世界が少し変わったこと』-5
「そこで、だ」
二階堂さんはまたニヤリと笑って言う。
どうでもいいが、このニヤリ笑いがまたえらく彼に似合っているのだ。
「ウチが幽霊仕事の情報集めに探偵やってるのは話したよな?」
「あ、はい聞きました」
「しかしだな、やっぱウチも二人だけだと入る情報には限りがあるワケだ」
「はぁ……」
「そこでだ。君の幽霊が見える体質を生かしてだな、この街で何か怪しい事がないか情報を集めて欲しいんだよ」
「それってつまり…」
それって、つまり。
「ウチでバイトしろ、リショー君」
「……マジっすか」
「ふふっ。マジですよ」
悠梨ちゃんが笑いながら返してくれた。
「そんな事でいいなら……」
「よし、採用!という訳で…」
また、二階堂さんはニヤリと笑った。
「二階堂探偵事務所へようこそ、リショー君」
僕の、少し日常から外れた日々が、……始まった。