jam! 第2話 『その日、僕が知ってしまった事』-1
「……というワケです」
二階堂探偵事務所にて。
僕はとりあえずここ数日の間に起きた事故について話してみた。
「姿の見えない奴に狙われてるかも……か」
「うーん、やっぱ変ですかね…?」
「いんや。他に気付いた事は?」
他に……あぁそうだ。
「気のせいかもしれませんが、……『殺意』のようなモノを感じました」
「殺意?」
「あ、いや殺意がどんなモノか知ってるワケではないんですけど。でも殺意としか表現しようが無いと言うか…」
我ながらあやふやだと思う。が、二階堂さんは何か考えているようだ。
「………悠梨?」
「はい。可能性は高いかと」
「だよな。あんた、ココに来て正解だったかもしれないぜ」
「えーっと、何の話ですか……?」
二人の間では会話が成立しているらしいのだが、……正直ついていけない。
「どうぞ。コーヒーで良かったかしら?」
と、悠梨ちゃんがコーヒーを出してくれた。
「あ、どうも」
「おっ。サンキュー!よし、状況を確認しとくぞ。」
ビリッ、さらさら。
「相手の姿は確認できないが襲撃は行われている。」
ビリッ、さらさら。
「んで、その時に言いようもない殺意を感じる…と」
ビリッ、さらさら…。
「いやちょっと待て!」
「おゎっ。……何だよいきなり?」
不可思議な光景に思わず突っ込んでしまった。
「二階堂さん……スティックシュガー何本目ですか、それ」
「あ?まだ三本目じゃねーか」
「いや十分多いですよ。っていうか何本入れるつもりなんですか」
「いつもはだいたい五本は入れるな」
「それもうコーヒー風味の砂糖水ですよ……」
見てて気分が悪くなってきた。
「気にしないで下さい。秋次さんのそれは病気みたいなモノですから」
「病気ってお前な…。あ、そういやまだ名前聞いてなかったな、依頼人さん」
「あ、そういえば……」
よくこんな大事な事を忘れてたものだ。
「神風 利将(みかぜ としまさ)です。友達連中からは『利将』を『りしょう』と呼ばれる方が多いんですけど…」
「なるほど。俺もそっちの方が好きだな。よしリショー君。行くぞ」
「へ?行くって…どこに?」
「決まってんだろ?」
二階堂さんはニヤッと笑って、言った。
「もちろん、犯人探しだよ」