jam! 第2話 『その日、僕が知ってしまった事』-4
「念魔もその呪いの一つのカタチだ。というより呪いが念魔というカタチになって相手に災いをもたらすんだよ。いかに呪いといえども、思念体のままじゃたいした力は出せないからな」
「じゃあ『丑の刻参り』とかで相手を呪って殺すっていうのは……?」
自分の持つ呪いの代表的なイメージといえばやはり丑の刻参りしかない。
「あぁ、場合によるがアレも念魔を生み出す儀式の一つだ。まぁ極度に簡略化した儀式だから、失敗して逆に念魔が暴走して殺されるケースも多いけどな」
「へぇ……。で、その念魔は何で僕を?」
「んなの知るか。リショー君、誰かに呪われるような怨みでも買ったのか?」
「まさか!そんな事してませんよ。……して、ないと思うけどなぁ……どうだろ……うーん」
「オイオイ頼りねーな…」
二階堂さんも呆れている。
「まぁリショー君が誰かの怨みを買ったなら話は早いんだ。そいつが呪いの主だろう。……でも、何もしてないんだとしたら厄介だ」
「どういう事です?」
「対象が無差別の呪いの可能性がある。これが厄介でな、特定が難しい」
「無差別っていうと…」
「目に着いた奴をただ殺してる可能性があるんだよ。これが厄介でな、特定が難しい」
そんな馬鹿な。たまたま目についたから、だって?
…どんだけ運が悪いんだ、僕は。
「そういえば……この一週間に、『不幸な事故』でもう四人も亡くなったらしいですよ」
「マジかよ。恐らく……」
「あの念魔、ですか」
「ホントならリショー君も昨日のトラック追突で死んでてもおかしくなかったんだが……」
あぁ、タイチの『救急キック』とやらのおかげか。
アイツには礼を言っておこう。
「まぁそのおかげで俺達に行き着いたワケか。そういや、どうしてここに?」
「いや、考え事しながら歩いてたらいつの間にか…」
「へぇ。じゃあホントに偶然だったんですね。玄関のベルを連打してたから、てっきり秋次さんの知り合いかと思いました」
……ぐぁ。嫌な思い出だ。
よく考えたら相当恥ずかしい事してるな、僕。
「はぁ?ベル連打ぁ?」
「いや何でもないです」
…そういや二階堂さんは熟睡していたのか。あのうるさい中寝続けられるのは、ある意味尊敬に値する。
そのおかげで悠梨ちゃんにヒドイ目に会わされていたのだが。
…そうだ、悠梨ちゃんで思い出した。聞かねばならない事はまだある。
「さっきの灰色の世界……『死界』…でしたっけ?アレは一体何です?それに念魔が本当の仕事の相手ってどういう」
「うっさい。一度に色々聞くんじゃねーよ。悠梨、説明頼む」
「えー、説明くらい自分でやってくださいよ」
「俺は探偵。悠梨は助手。依頼人への説明も助手の仕事の内、だ」
悠梨ちゃんはむぅ、と一度唸ったが、