jam! 第2話 『その日、僕が知ってしまった事』-2
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さて。
今僕は一人で街の中をぶらついている。
二階堂さん曰く、犯人をおびき出す為だとか。
つまりアレか。僕はエサか。脳裏に二階堂さんが先程言っていた言葉が蘇る。
『三日続いたんだ。恐らく今日も来る。しかも日に日に強くなってんだろ?
……なら今日のは確実に大きな事になる。そこを狙う。つーワケで、囮よろしく、リショー君!』
……なんか不安だ。凄く不安だ。
普通探偵って言えば聞き込み調査をしたりするものであり、依頼人を囮捜査には使わないと思う。
「はぁ……、もしかしたらとんでもない場所に依頼しちゃったのかなぁ……」
そんな事を考えながら、とぼとぼ建設中のビルの前を通りかかった時だった。
上の方から金属の軋むような音と、誰かの悲鳴。
ふと上を見上げ、上空から落ちてくる長方形の物体がビルの工事現場の鉄骨だと認識するのに、少し時間を要した。
1……2……3。
その数、三本。
まずい…!いや、辺りを見渡すが誰もいないようだ。良かった、誰もいない…………そう、僕以外には。
いや待て。そこが1番重要な要素だろ。
そんな間抜けな事を考えてる間に、鉄骨は既に手遅れっぽい距離まで落ちてきていた。
トラックの次は鉄骨か。
しかもご丁寧に三本も。
ゾクリと感じる、トラックの時と同じあの感覚。
あぁもう気のせいじゃない、はっきり感じる。
これは、殺意だ。
……あ、やば。これは死んだかも。
考え事しているヒマなんかなかったのに。もう鉄骨はすぐソコまで来ていて、
しかし体はちっとも動いてくれず、
――グシャリ。
アスファルトが粉々になった。鉄骨が地面とぶつかり轟音を上げる。
……あれ、まだ生きてる。
「なーにボサッとしてんだぁ!?死ぬ気か?」
二階堂さんが僕の襟首を掴んでいた。そうか、二階堂さんが後ろから引っ張ってくれたのか。
……少し首が苦しい。
「あ……ど、どうも」
「どうも、じゃねぇだろ!…さてと。こっからが本番だ」
本番?犯人探しの事だろうか?
「い、いたんですか!?」
「それを今から見るんだよ。悠梨!」
「はい!準備オッケーです」
「よし、…やれ」
悠梨ちゃんは少し離れた所に立っていて、……あれ?手が…なんか光って…?