jam! 第1話 『その日、僕に起きた出来事』-5
(……死んだか……?;)
結構モロに顔面から突っ込んだぞ今。
っつか悠梨ちゃん怖っ!
そんな事を考えていると、探偵が顔を押さえながらむっくり起き上がった。
「痛ててて……。悠梨、もうちょっと優しく起こせはしないのか?」
「寝てるのが悪いです。それより、お客さんですよ!」
「あ?……おぅ、生身か。……珍しいな」
よく分からない事を言いながら、探偵は立ち上がった。
黒い上下のスーツに赤いネクタイをつけた男は、タバコを取り出しニヤッと笑いながら言った。
「二階堂探偵事務所所長の二階堂 秋次(にかいどう あきつぐ)だ。……用件は何だい?」
若い。二十歳くらいか。
いや、何と言うか………長身だし、スタイルも顔も良い。
けれど黒い短髪にサングラスをかけ、さらに黒スーツに派手なネクタイ、くわえタバコという出で立ちは、どことなく
『さわやかなチンピラ』
…という表現が相応しい。
「まぁ立ち話もなんだし、そこのソファーにでも………あ」
悠梨ちゃんに指差された先程二階堂さんが寝ていたソコは、当の悠梨ちゃんによって前倒しにされたままだったのだが。