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この大きな青の下〜いつもの太陽〜
【青春 恋愛小説】

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この大きな青の下〜いつもの太陽〜-1

ミーン ミーン

ミーンミーン

「・・・ぅう・・ん」
騒がしいセミの鳴き声で目を覚ます
時計にふと目をやると針はもう昼前を指していた
外からは強すぎるほど明るい陽射しが射し込んでくる
窓を開けると夏の匂いがふんわりと漂ってきて、とてもきもちがよかった

ん〜、と背伸びをしているとドタドタと階段を掛け上がる足跡が僕の部屋に響きわたる
・・・多分母さんだ

「秀人〜!!夏休みだからっていつまで寝てるの。もう昼前よ!」
・・やっぱり
「もう起きてるよ!てゆーか夏休みなんだからゆっくりさせてくれよ」

・・そう、今は学生の特権の夏休み。休みに入る前は毎日昼まで寝る予定だったがそうはいかなかった。
母さんが毎日なんだかんだで起こしてくるし、それより何より宿題がたんまり出されてしまったからだ

「もう、夏休みだからってだらしないわよ秀人!もう中学生なんだから少しはしっかりしなさいよ。
・・それで宿題はやったの?」

もう夏休みに入り一週間が経つがこの言葉をもう数え切れないくらい聞いた気がする。
「ハイハイ、わかってるよ」
少しふてぶてしく僕は答えた。
この「宿題」という存在のせいで僕の中学生活初の夏休みはこの先最悪な夏休みになるような予感がしてならない

「はぁ〜」
、とため息をひとつつき僕は遅めの朝御飯を食べた。


太陽は相も変わらずこのなんでもない僕の日常を照らしていた



午後になり陽射しはますます強まってきた
「あぢぃ〜」
直射日光を背に浴びながら僕は自転車を漕いでいる。何故かというと、この一週間ほぼ毎日通い詰めてる場所があるからだ。
愚痴りながらも僕の足はしっかりとその場所へ向かいペダルを漕ぐ
・・町から少しはずれた小高い丘の頂上にひっそりとその店はある。一見ただのボロ屋にしかみえないが、ちゃんとしたお店だ
その証拠に〔神崎書店〕と立派な看板が貼ってあるし
僕は汗だくになりなったまま店に入る
中は少しホコリっぽいがとても涼しげできもちがよかった

「こんちは〜」
店の奥まで僕の声が響きわたり、しばらくすると奥から七十くらいの老人がのそのそとこちらに近づいてくる

「おや、秀人また来たのかい。いらっしゃい」
この人が主人の重春さん。僕は重じいって呼んでるけど

「家に居たら母さんが口五月蝿いからさ、また来ちゃったよ。友達もみんな毎日部活で遊べないしさ」

「ははは、五月蝿いか、でもなお母さんの言う事はちゃんと聞かなきゃ駄目だぞ秀人」

ゆったりとやさしい声で話し掛けてくる重じいは本当のお爺ちゃんみたいで僕は大好きだった。


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