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この大きな青の下〜いつもの太陽〜
【青春 恋愛小説】

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この大きな青の下〜いつもの太陽〜-2

「わかってるよ、それより昨日言ってた本見つかった?」
・・僕はここに来ては重じいと世間話(と言ってもほぼ僕の愚痴だけど)したり、重じいおすすめの本をただで貸してくるので(本当は買わなきゃいけないだろうけど)借りたりしている
昨日も重じいが面白い本があり、次来るまで探しておくと言ってたのでそれが目当てだった。

「あぁ昨日のな。あったよ、確か向こうの部屋の右側の本棚にしまっておいたよ」
「本当に?あったの?サンキュー重じい」
この店は小さいながらも中はところせましと本棚が並べられていまさに〔本の壁〕だ。
向こうの部屋は本棚でできた通路を抜けた先にある
そこを抜けると四方八方本だらけの少しこじんまりとした小部屋にたどり着いた

「えーと、右側の棚だったな・・ん?」

ふと部屋の奥隅に目を向けると一人の少女が居ることに気が付いた。年は僕と同い年か、少し年下だろう。
真っ白いワンピースを身にまとい、落ち着いた雰囲気な女の子。
分厚い本を五、六冊重ね椅子がわりに座っている姿はどこか凛として見える。僕はしばらく彼女に見入ってしまっていると

「・・あの・・何か用?」
少し不機嫌そうな口調で話し掛けてくるもんだから僕は戸惑ってしまった。
「あ、いや、別に君に用があるわけじゃ・・」
「じゃあさっさと出ていって。目障りだから」
――カチン
「あのさ、いくらなんでも初対面の人に向かってそれはないんじゃ・・」
「うっさい!用がないなら出て行ってよ」
なっ・・・
騒ぎを聞き重じいが奥から顔をだした
「おやおや、二人共仲良くしなきゃ駄目だよ。秀人とは初めてだったな?この娘はわしの孫娘の麗華といってな、この夏からこの家で暮らす事になったんじゃよ。」
彼女――レイカはふてくされた顔をしながらペコッと小さいお辞儀をして

「・・神崎麗華です。・・よろしく」
「あ・・空谷秀人です」
改めてレイカをみるとその可愛さに戸惑ってしまう・・けど
「もう、行っていいお爺ちゃん?この人汗だくで暑苦しいわ。」
ぐっ・・性格は・・最悪らしい
「しょ、しょーがないだろ外スゲー暑いんだから。」

「お爺ちゃん、早く出掛けようよ〜帰り遅くなっちゃうからさ」
・・聞いてねぇし・まぁ、いいや
「重じいそれより探してる本がないんだけど、何処に置いたのさ」
「あれ?おかしいな。」
重じいは本棚を探し始めた。
レイカはもう、とため息をついてまた本の上に腰掛けている
「参ったな〜これから麗華にこの街を案内してやろうと思ってたんじゃが。」
「えっそうなんだ」
レイカの方に目をやるとジーっと不機嫌な目線が僕に向けられているのに気が付いた
・・恐っ!
「あ、もう本はいいや重じ・・
「そうじゃ、秀人、麗華に街案内してくれんかのぉ?その間に探しておくから」
なんでそうなるのかな?
「いや、でもこの娘も重じいと一緒に行きたいんじゃないかな?」
何故か僕は必死だった
「いいかい麗華?」
レイカは意外にもコクン、と頷いて「いいよ。」と軽く返事をした
その直接バッと立ち上がって
「行こう、秀人!」
と、僕の服を掴み駆け出した
「ちょっと、ちょっと!」
意外に力が強く僕は言われるがまま外に連れ出された


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