「イジワルな彼〜本当の気持ち〜」-3
「ヒロ、キスシーンだけど…」
社長が恐る恐る聞いてくる
「やります!マネージャーもこう言ってくれてますし、チャンスは活かさなきゃ!」
「それでこそヒロね!‥穂香もありがとう」
「いえ、私は…失礼します!!」
穂香は頭を下げると、居たたまれなくなり、事務所を飛び出す
「今回の確認ミスはアタシの責任もあるわ、ヒロ‥怒らないであげて?」
社長が優しく肩に手を置く
「…分かってますよ。俺、様子見てきます」
事務所を出ると、非常階段から穂香のすすり泣く声が聞こえる
“これでいいのよ!嶋田さんの夢にも近付くし、アピールにもなるし、万々歳じゃない…”
「‥穂香」
後ろから優しい声が聞こえる
「嶋田さ‥キスシーン、確認しなくてすみませ…」
「うん」
「確認、したら絶対、反対しちゃう気がして‥怖くて」
「うん」
「私、マネージャーな‥のに。ごめんな…さい」
ヒロは、ただただ穂香の頭を撫でてあげる事しか出来なかったーー
*続く*