ヒメクリニッキ-6
夢を見た。何故かみんなのテンションが高い夢。変な夢と言えば変な夢なんだが、なんでしょう、この違和感。
「起きたかい悟!!? いやぁ、なんか今回は気絶して目覚めてばっかだねぇ!! マンネリだよマンネリ!!」
予想的中。
目が覚めたと思えば、いきなりハイテンション過ぎる悟が登場した。キャラぶっ壊しである。
「トンカツごときで気絶なんて!! 精神的に脆さが見られるよ!!」
続いて冴利までハイテンションだ。ここまで来るとさすがに薄気味悪い。
「な……何」
「はい5分経過〜」
まだヒリヒリ痛む口内を気にしながら、俺はゆっくり起き上がった。
「……起きないでくれるかな…」
「……いやもうあれだよね……存在が絶望的…」
「……めんどくさいな…あれ? 何がめんどくさいのか解らないくらいめんどくさい…」
「あ、あの、梓」
テンションが上がったり下がったりする悟と冴利に本気で恐怖を覚えた俺は、比較的落ち着いていそうな梓の元へ寄った。
「5分ごとにテンションが上下するゲーム、名付けて高気圧ゲームよ」
「なんだよそれ……」
「そのうち人格が壊れたり」
「今すぐ止めさせろよ!」
「はいはいー」
梓がパチンと指を鳴らすと、冴利と悟は正気に戻ったようだった。
「あれ? 一体僕は何を」
「うぇー、気持ち悪ぅ」
「危ないわねぇ、もうすぐで……ふふふ」
口に手の甲を当ててほくそ笑む梓が、俺には恐ろしくてしょうがなかった。