甘辛ゾーン-7
後の反動が大きいから、やってはいけない。やってはいけないけど、やってしまって後に後悔する。
簡単なんだよこんなのって思うかもしれませんが、その場限りで100%明るく振る舞うのは相当難しいんです。
一人きりだとしても、人の前だとしても、猫の前だとしても…。
何が言いたいのかと問われると、はらぺこで死にそうですと答えます。
「…猫さんはまだお腹が空いていますか?」
「にゃあ」
「肯定、ですね」
いきなりですが
カップ麺にお湯を入れて、三分待つ時間、" この "空白の時間です。
早い様に見せかけて意識すると遅くなる、" この "空白の時間です。
はらぺこ状態の人にとっての最大の生殺しだと思いませんか?
もう狂気的と言って良い状態であるのにも関わらず、「三分間待ってやる!」ですよ?カップ麺如きが命令口調で。
では時間を有効活用する為に、ちょっとした身の上話でもしましょうかね。
…そう…あれは、雪柳のなく頃に……って
話し始めたらちょうど三分経ってしまったので、終了です。
滑り鳴るは、舌鼓。
「…結構美味ですね」
久々すぎて忘れていましたが
インスタント、しかも塩味とは言え、なかなかイケます。
柔軟でプリッとしたこの細麺が喉を通り抜ける様に、胃に入ってゆく…。
ちゅるるんちゅるるんぷりりんぷりりんみたいな感じで。
前にショウちゃんが作ってくれた超絶快楽味噌豚骨菠薐雲呑拉麺に比べたら
全然割に合わないほど、愛という名のスパイス・ラヴ&ピィスが足りませんけどね!
「なー?」
馬鹿言ってる間に、猫ちゃんが私の側まで歩いてきました。
もう食べ終わったのでしょうか。それとも…
「あ、あげませんよ?これは私のですよ?どうしても欲しいと言うのならば、ショウちゃんのヌード写真集を…」
と言いかけて、ハッと気づきました、いや、関係のないことですが。
一緒に過ごすなら『名前』が必要です。
「呼ばれたい名前とか、何かありますか?」
「にゃー?」
「『火消しの風キャット』とか『キング・オブ・キャット』とか。あ、今の例はNGです。長すぎなので」
何かありますか?
可愛くてカッコ良くてユーモラスな名前。