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甘辛ニーズ
【コメディ その他小説】

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甘辛ゾーン-8

 ………ん?んんっ?

 急に私の第三脳髄がビビビッときました。いわゆる電波キャッチ。


 故人は言いました。
「名付け候補が決まらなければ、愛おしい者の名にすればいいじゃない」と。

 故人の友達が言いました。
「だけどそのまますぎると却って変だから、少々アレンジするのも大事」と。


「今からあなたはシュウちゃんです」

「……ふ」


 えと。

 二番煎じかよ、とでも言いたかったかのように躊躇いがちにため息を吐いた…っぽいのですが。


「じゃあシャムちゃんとか…」

「にう♪」

 明らかですね。

「別にいいですよ…」
「?」
 ネーミングセンスは我ながらに抜群だと言い聞かしてたはずなのに…
 賽を投げ直すことはできませんかね。

 いえ寧ろ賽子を投げ直して、某仮人生板遊技並の幸せを手に入れたいです。

 最初から出目がずっと一の人生も悪くなさそうですしね。







 ───駄目だ。

 まったく勉強が捗らない。

 あいつのせいで…。


《実は…スーパーでの買い物帰りに捨て猫…というより" 黒い子猫が段ボール箱の中におりまして "…拾ってきちゃったんです》

《" 鈴も首輪も付いてなくて "今の時点では飼い主が特定できなくて…せめて猿轡でも付い……間違えました》

《でも嬉しいことに" 幸い、弱ってはいませんでした "》


 ホント、困るよなあ。

 僕もあの時に思い出しておけばよかったんだけど。

 …電話するか。


 受話器を取り、的確にダイヤルを押していく。

 ケータイは…凪は持ってるけど、僕は持っていない。

 最近のはシステムがよく理解できないし、何よりもどこかの誰かさんに
 嫌がらせをされそうで怖いのだ。

 呼び出し音が鳴る。

 一回目が終わり、二回目…が鳴る前にうるさい声が飛び出してきた。


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