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Larme
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Larme〜lonely liar〜-4

私が目を覚ましたのは、病院のベッドのうえで、知らないおばさんとお姉さんがいた。
児童施設の職員だった。
私は、退院と同時に施設で暮らすことになった。

友達も知り合いも一人も居ない。
先生は優しかったけど、私は施設に馴染めなかった。
いつも部屋の隅に座っていた。
ぼうっとどこかを見つめる。
そこにはもちろん何もない。
…何もないから、涙が出てくる。
洗濯も、料理も、掃除もしなくていい。
ここでは、自分の時間を100%自分の為に使える。
不自由なことなんて、なにもない。
痛いこともない。
幸せなはずなのに、心に大きな穴が開いているみたいだった。
「…寂しいよ」
私が呟いても、誰も気付かない。
「…お母さん」
なんで、私がこんな思いをしなければならないんだろう?
神様は、私が悪い子だから、私からお母さんもあずさも奪っていったの?

「きゃ〜!!」
黄色い声が耳を刺す。
何かと思いそっちを見ると、音楽番組を見ながら中学生くらいの女の子たちが騒いでいた。
「そんなに大きい声を出したら、みんなが驚くでしょ?」
「だって〜」
「でも、先生も好きでしょ?INNOCENCE」
―INNOCENCE?
聞き覚えがあるグループ名。
でも、どこでだっけ?
「ForDearがヒットしたから、絶対に年末年始の歌番組には出ると思ってたんだ〜」
―ForDear?
あ、…あずさの病室でCDを見たんだ。
でも、確か、もっと前に…
「ねぇ先生、INNOCENCEって、この街の出身なんでしょ?」
―え?
「えっ本当に?」
「だから先生好きなの?」
「そうね先生の高校時代の先輩たちなの話した事もないけど」
「凄いね!こんな田舎のちっちゃい街なのに…」
―そうかっ!
私は、急いで立ち上がり、テレビの前に走った。
「きゃ〜っTETSUっ!」
「TETSUはね、哲明っていうのよ」
「えっそうなの?」
「じゃあ、JYUNは?」
「JYUNは、純一」
「…あ、恵ちゃん」
「恵ちゃん?」
「恵ちゃんも、INNOCENCE好きなの?」
私は、返事をしなかった。
聞こえていなかった。
食い入るように、じっとテレビを見つめた。
「…純一、尚人、勇平、宏暁」
「勇平って?YOUのこと?」
「…哲明っ」
ひときわ幸せそうに笑う哲明を、心底憎いと思った。

…あずさを捨てた奴等!!

あずさが病気になったのは、コイツらのせい
お母さんが死んだのは、コイツらのせい
私がこんなにつらいのは、コイツらのせい
みんなみんな、コイツらのせいっ!!
なのに、なんでコイツらは幸せなの?
…私にだって、幸せになる権利くらいあるはずだ。
コイツらは私の幸せを奪った。
それなら、コイツらを利用して私も幸せになればいい。
幸せは、沢山持ってる人から貰えばいい。

幸せになりたいっ


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