さぁ満月だぞ!Act.1-2
すると伊藤の白い手が伸びてきた。
先程熱血少年…いや、熱血野郎と言った方が良いか…ともかく熱血野郎が置いてったメモを渡してきた。
受け取った私はぽいっと丸めてゴミ箱へ投げた。
『何してるんですかぁー!』
『相手にゃ悪いけど興味ない』
『イタイケな日本男児の心を何だと思ってるんですかー!』
伊藤よ…そんなアニメ声で怒らないでおくれ。
萌えてしまうじゃないか。君を襲わさせる気かい?
『そんな悪くなかったじゃないですかー!可愛い顔してたましたよ?』
『年下には興味ない、体育会系にも興味ない、汗臭そうなヤツにも興味ない』
ひとつ煙を吐いて言った。
『妃さんはむしろ男に興味ないんじゃ…まさかそっちの気が…』
言い終わる前に冷たい視線を刺した。
帰り道原付を飛ばしながら物思いに耽っていた。
『興味ない…か』
興味がない訳ではない。
まぁ今日のあいつに興味はないけど。
ただ過去に恋を味わいすぎて疲れてうんざりしているのだ。
赤信号に捕まり溜め息をつく。
もう二度とあんなに切なくて辛くて惨めな想いはしたくない。
でも前に動けない今を変えたい。
この信号が変わったら何かが変わると良い。
そんな子供じみた安っぽい事を願うなんて自分らしくないと鼻で笑いアクセルを強く回した