飃の啼く…第9章-1
「ひーっくし!」
「なんて情けないくしゃみなんだ」
「だっでへ(だってぇ)…」
ベッドサイドにおいてあるティッシュボックスに手を伸ばしながら反論する。
先日、床の上で寝たせいで、すっかり風邪をひいてしまった。
「何で飃は風邪ひかないのよ…」
台所でお粥を作りながら鼻歌なんか歌ってる。丈夫な奴…。
「ほら。」
飃はお茶碗をお盆に載せて、ベッドまで運んでくれた。飃は料理が出来る。弟の世話をずっとしていたのだから当たり前といえば当たり前だ。そんな彼に普段料理を任せない理由は、調理用具の使い方を知らないからという一言に尽きる。少なくとも、今日は土鍋を使ってくれたから、最後に料理を任せたときのように炊飯器ごと火にかけようとはしなかったようだ。料理をつくってもらったついでに、もっと甘えたくなる。
「つ・む・じ?」
「ん?なんだ、その甘えた声は。」
顔がニヤニヤしてる。
「私、猫舌なんだよねぇ…って、何して…」
「誘ってるんだろう?」
「何でそうな…ふにゃ…」
熱で敏感になった身体を、飃の手が這い回る。今や彼は私の足の上にまたがって、わたしの目の中を覗き込んでる。
「だって、かすれて、甘えた声を出して…」
「それは、おかゆを冷ましてほしくて…」
「上目づかいで、しかも潤んでる。」
唇を嘗め回してくる。
「っあ…」
「頬は上気して紅いし…」
パジャマの上から、反応してしまった胸の頂点を擦られる。
「ぁん…」
「感度も良好。」
「私…風邪…ぇ。」
身体に触られるだけで、怖いほど感じてしまう。抵抗できない。抵抗…する気が、無い、のかも。
「ほら、何もしていないのに」
飃の長い指が、私の中に入ってくる。
「は、ぁ…」
かすれて、声が出ない。だから、余計に…