あなたの えがきかた-6
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私はその後も、絵を描き続けている。
渇きを覚える事は少なくなり、変わりにそれと“同一種でありながら、全く別物”の感情を覚える様になった。 これに関してはうまく説明が出来ず、ただ一つ言うなら悪い物では無いのは確かである。
説明が出来ない変わりに、私はそれに彼の名前をつけた。 [TAKEDA]と名付けたそれは、今の私にとっては無くてはならない物だ。
私は[TAKEDA]を感じる時に、絵を描く様にした。
その絵は決まって、私の愛と名付けるに値する作品であったし、そうじゃないにしても、私はそう名付ける事が出来た。
そしてそれを便箋に入れ、彼の靴箱にソッと入れて置くのだ。
次の日には返事が来て、私はまた[TAKEDA]を感じる事が出来る。
私はまた、幸せになれるのだ。
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まず線を描く。
どのような線でも構わない。 直線であっても良いし、曲線であっても良い。なるべくシンプルに、かつ自然な線を描く。
そしてそれに連なる線を描く。そう続ける内にそれが段々と形となり、最終的に絵になる。
その絵は私であるし、私では無い。
どうじに彼でもあるし、彼でも無い。
それが私の“あなたの えがきかた”なのだ。
あなたをえがく幸せなのだった。