飃の啼く…第8章-7
「…ねえ?」
「うん?」
この、「うん?」が好きだ。普段張り詰めた飃の声や表情が、とても優しく甘いものに一瞬で変わる。そして、その気持ちが私だけに向けられたものであるという事実…。
「ぁぃしてる、ょ。」
絡みつくシーツを蹴って、飃の頬にキスをした。私がこんなにストレートに、彼への愛情を示すのは珍しい。飃の驚いた顔が、私にそれを気づかせた。
唐突に、飃が私の上に折り重なるように身体を回転させた。
「ぁはは…ちょっ…」
唇をふさいだ。私だけが知っている、思いの他やわらかい彼の唇が。
何度も、何度も。いとおしむ様に。慈しむように。私は、その一つ一つに答えていった。
飃は、私の頭横の両側にひじをついて、頭後と包み込むように抱いた。
舌を絡ませあう濃厚な口付けは、唇の弾力を味わうようなキスに変わっていく…
やば、頭が、ぼ―ってなる…
「飃…ィ…」
唇が離れた隙に、何とか言う。
それに答えずに、また深く口付けされる。
「ふ・ぁ…これいじょ…す…と、欲し…なっちゃ…」
激しいキスの合間に、しゃべるのは容易じゃなかった。飃は、聞いていたのか居ないのか、急に唇を離して、耳を攻め始める。
「ひゅぁ…っ…つむ、じ…ばかぁ っ」
抵抗しようにも、力が…
その間にも、私の耳をついばんだり、かじったり…
「あ、し…た、がっこ……」
「休め」
「ふぇ…?」
「今夜は、抑えられそうに、無い。」
切実な声。どうしてそんなを顔してるの…?
キスだけで、自分でも解るほど濡れてしまったそこに、飃の手が伸びる。耳元で…
「お前もだろう?」
「…ぁ…ゃあ…」
飃…
「っく、ふ…あ…」
飃が、私の中にゆっくりと挿入ってくる。ぞくぞくするほど、この瞬間が好きだ。