飃の啼く…第8章-5
「うん?」
「己はあまりにお前に救われすぎて…これ以上頼るのが申し訳ないように思っていた。」
「…馬鹿だよ、飃は。一人で何でも出来るなんて思ってさ。」
「…そうだな…。」
「私と飃は、二人で一つなんだから、嬉しいことも、悲しいことも、やっぱり分け合わないといけないんだよ。」
「ああ…。」
そういって、私から身体を離して向き直った。飃の目は充血していたけど、吹っ切れたような顔をしていた。
「さくら。愛してる。」
その目が、あまりにまっすぐで、私は照れくさくなって、決まり悪そうに布団のシーツをもてあそんだ。
「えへ…わたしもだょ、飃…」
飃は、私が「狼の目」と読んでいる目つきをした。本人に自覚は無いのだが、その…私を求めているときに見せる表情だ。金色の目の奥が一瞬きらりと光るような。その目が、私はたまらなく好きだ。
「ねえ、飃、目を閉じて…」
私は、目を閉じた飃の前にひざ立ちして、彼の顔を両手で包み込んだ。そして、舌で唇をなぞって開かせると、中にそっと侵入した。
「んっ……さく…?」
飃が困惑した声を出す。私はわざと、それに答えず、キスをしたまま飃のシャツをたくし上げた。飃の胸を、羽で撫でるように愛撫してみる。
「っ!」
耳を立てて、飃の身体が反応する。わたしは、潤んだ飃の目を覗き込んでから、耳を舌でなめあげた。飃がいつもやるように、少しだけ息を吐き出しながら。
「…っく…さくら…ゃめ…っ」
飃の身体はふるふると震えている。その間にも、私は胸を愛撫し続ける。
「声、我慢しなくていいんだよ…」
耳元で囁く。
「は…っ!さ、さくら…一体…っ…?」
「飃の弱いとこ、見せて。」
舌を耳の中に突っ込む。声にならない振るえが、飃の全身をはしる。
私は首筋をなめながら、胸のほうへと移動していく。鳥肌が立っている。可愛い。
引きつった傷跡に、慈しむようにキスを落としていきながら、胸へと行き着く。
「くっ、あっ…」
舌で胸を弄ぶ一方、手は飃のものに伸びていた。ズボンの上からでもわかるほど、大きくなっている。そういえば、私はいつもしてもらうばかりで、自分からしてあげたことは無い。布越しに撫でてあげると、それはますます硬さと大きさを増した。私は飃をベッドに押し倒して、馬乗りになった。顔を見られるのが恥ずかしいのか、飃は片腕を目の上にかざして荒い呼吸をしている。
私はかがんで、飃のズボンを一気に下ろした。