強要編…1-1
「今日…飲みにでも行かないか?」
「え?」
社長の金澤雪人(かなざわゆきひと)が秘書の松本梨絵(まつもとりえ)にそう言った。
「どうしたの?
雪人から誘うなんて珍しいじゃない」
あたしはクスッと笑ってそう言った。
「はい、コピー終わったわよ。
時間外労働させないでよね、しかも会議20時からって向こうの会社はどういう神経してんのかしら」
あたしはドンっ、と資料をコピー室にあるテーブルに置く。
「力仕事は坂下には任せないんだから、全く…ちょっとしかないんだから自分で持って行ってよね。」
あたしがそう言うと雪人の顔が真っ赤になる。
坂下とは秘書課の坂下麗(さかしたれい)のことで、社長の恋人にあたる。
「…何で知ってる?」
雪人はゴホンと咳払いをしてあたしに聞いた。
「…坂下のこと、社長室で抱くのはそういうことでしょ」
「…見たのか」
ふぅっと雪人はため息をついてあたしを見た。
あたしは高校の時の同級生だった雪人と会社に入ってからも仲良くしてて、寝たことだってあって。
ずっとずっと好きだったけど…
「きゃ?!」
雪人はあたしを抱き寄せた。
「…ごめん、な」
「え…?」
「俺、ずっとおまえの気持ちに気づかないフリしてた」
「ちょっ…と…雪人…誰かに見られたら…」
「今日は…坂下のこと話そうと思って…さ。
ごめん、ほんと。
今まであんな扱いしてきたのに」
雪人がそう言ったからあたしは雪人の手を振り払ってこう言った。
「もう、そんな気持ちとっくの昔に消えてるわよ。
ほら、次会議なんでしょ。
坂下待たせちゃ悪いんだから、早く行きなさいよ」
あたしはウィンクしてコピー室をでる。
…うーわ。
まだドキドキしてる。
まさか雪人がそんな風に思ってたなんて。
「松本さん」
後ろからあたしの名前を呼ぶ声がして振り向くと秘書課の真鍋隆(まなべたかし)がいた。
今は…あたしの最愛の人。
「どうしたの?」
あたしは歩きながら真鍋に聞く。
「ちょっと…いいですか」
真鍋はあたしの手をぐいぐいと引っ張って。
「ちょっとっ…なにっ…」
なぜか真鍋はあたしを社長室まで連れてきた。
「ほんと社長ったら不用心ね…鍵くらいかけないと誰でもこんな風に入って…え?!」
真鍋はネクタイを外して、あたしの手首をつかむ。
「真鍋っ?!
…なにするのっ…痛っ…」
あたしの手首を縛って、じっと見つめて。
「なにする気よ…ちょっ…?!」
真鍋はあたしのスカートのファスナーを素早くおろして、スカートは簡単にあたしの足元に落ちてしまった。
夏にガーターベルトを使うあたしの姿は、ふつうのストッキングをはいている時より自分が見てもいやらしく感じる。
真鍋はひざまずいて、あたしの腰をつかみ太ももにキスをしていく。
「や…んっ…なによっ…やめなさいっ…」
スカートが足元にあるから転びそうで、なかなか抵抗できない。