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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第7章-8

その間、村を歩き回って探検ごっこをしたりもした。子供たちは物知りで、ここの木はいついつ誰が植えたとか、ここの川には何が棲んでるとか、得意げに教えてくれるその顔は誇らしげで、可愛くて…

いつか私も、こんな子を持つことが出来るんだろうか…そんな、漠然とした希望のような母性が、小さく芽生えていた。



そんな風にしてすごしながら、もう5日が経とうとしていた。



「ほんとにさー、子供たちがかわいいのなんのって…」

「…そうか…」

飃は…ここの所憔悴している。あまり眠れないようなのだ。蝋燭のやさしい明かりが、かえって飃の顔に影を投げかけていた。

「…心配?」

「ああ。これだけ間隔があくと、奴らのほうでも綿密な計画を練っているのではないかという気がしてな…」

「その分、私たちが頑張れば良いんじゃない。ね?」

強張った飃の肩に手を置く。

「…そうだな。」

弟と話しているとき以外は、ほとんど見ることのできなかった笑顔が、ふとよぎった。

「ねえ…?」

よほど力を入れていたのだろう。凝った肩は、よっぽど力を入れないとほぐれそうに無い。

「ん?」

「大丈夫に決まってるよ。飃と、私が居るんだもん。」

よくおじいちゃんにしたように、飃の肩をもんであげる。深いため息をついて、少しだけ肩の力が抜けたようだった。



飃は私の手の上に手を置き、止めさせる。

「さくら…」

振り向いたその目に、抑圧された欲望が浮かんだのを見て、恥ずかしくなって顔を背けた。確かに、ここについてから一回もして無いけど…飃は、私が村の女衆から借りた白い寝巻きを見つめている。もっと悪いことに、その下を想像している。

命を懸けるような戦いの前には、そういった欲望が燃え上がってしまうのが常だ。考えたくないけど、無意識のうちに「これが最後かもしれない」と、どこかにそんな気持ちがあるのだ。

「さくら…」

もう一度呼んだ。

「来てくれ」

私は素直に、飃の隣へ行った。


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