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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第7章-10

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鐘が鳴った。私の上で、たった今とても大事なことを伝えてくれた夫は、恋人の顔からすぐさま戦士の顔へ、表情を豹変させた。

私も急いで寝巻きを着替え、家から持ってきた道着に着替えた。

「飃?」

「まだだ。」



そいつらは、飃の懸念していた通り、北からやってきた。どれもこれも、小さめの雑魚ばかりだが、数は多い。少なく見積もっても百は居るだろう。東西南北の班長は、我先にと家を飛び出し、結界術の構えをとって定位置にたった。他の家からも次々と武装した狗族がやってくる。でも、数は多くない。全班あわせて五十、いるか居ないか…。

一刻も早く、大元を断たねば。

村のあちこちから、結界の術を展開するための狗族の術歌が聞こえてくる。

見張り番に立っていたハタテは、彼らのやってくる方角を北東と読んだ。鬼門の方角だ。

颯は、北のイナサの隣に陣取って、結界の穴を修復している。兄の目は確かだった。もうしばらくはあのまま持ちこたえることが出来そうだ。

私たちは村の東から森へ抜け、奴らの通った後を、匂いで追いながら進んでいった。この匂いは、しばらくすると消えてしまうので、とにかく急がなければならない。



追跡を始めてから、月の位置は少し変わっていた。山の中腹にある村から出て、ここは山頂の少し東に当たる位置だ。そこには、小さな祠のような物のある岩穴があった。あいつらの気配が残っているせいか、首筋の後ろの毛がちりちりする…。

「もし…?」

岩穴の置くから、か細い声が聞こえてきた。

「!誰だ!!」

「狗族の、方ですか・・・?」

そこには、やせ細って骨と皮ばかりになった女の子が横たわっていた。

「何があった。」

飃は非情にも尋問する。こういうときの飃は好きになれない。

「ちょっと、それより何か手当てを…」

私が言いかけると、飃は

「何があったのか、言うんだ。」

断固とした声で命令した。

「私は…この山を二つ越えたところの狗族の村からさらわれて…閉じ込められて、あの壷の中に棲むお化けたちに、生気を吸われておりました…どうかご慈悲を…」

「…そうか。」

洞窟の祠には、結界が張られていて、その奥に汚いつぼが置いてあった。


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