舞子 〜仮説と本音〜-3
「曇りの日が好きだ?雨の匂いがする?毎回毎回セイと同じこと言いやがって…」
目の前の舞子も、どんどん色を失って、見えなくなっていく。
自分の声だけが、頭に響く。
「セイと血が繋がってない?俺は何も知らない…何も知らなかったんだっ!!」
血が沸騰する。
怒りが沸き上がる。
止まらない。
「お前は俺を見ているフリをしながら、いつでもセイを見てたんだろ!?お前が心の底から好きなのはセイなんだろ!?」
一気にぶちまける。
これが俺の仮説。
俺の、本音。
「…っっふざけんなっ」
冷たい風が吹いた。
ふと、気が付くと、足元に転がる缶コーヒー。
舞子の右手にはコーラが握られたまま…
目の前で凍りついた舞子。
大きく開かれた目から、大粒の涙が1つ、こぼれた。
ああ…俺は、舞子を失ってしまったんだと――
思った。