和州記 -紅梅ノ女--2
「あんたに付き合って貰うたら、あかんかな」
すると周りの遊女達が、どよめいた。
「ちょ、ちょっと。紅梅姉さんは、そんなに気安く…」
「良いのよ」
一人の女の言葉を、紅梅は遮った。
「気に入ったよ、望むなら付き合ってあげる」
「ほんまか」
一紺が少し驚いた様子で言った。
「特別さ。楽しませてあげたいじゃないか…それに、私も楽しみたいからね」
笑みを浮かべる紅梅は、ぺろりと赤い舌で真紅の唇を湿らせる。濡れた唇で、一層紅梅の妖艶さが増した。
ぞくりとするような艶やかさを含んだ声で、紅梅は囁いた。
「…満足させられるかい?」
――甘い匂いの香が焚かれた部屋に入って目に付いたのは、寝台の近くに飾られた紙の造花であった。
何の花だろう、名は分からないが、手作りのそれは紫色で可愛らしい。
なかなか洒落ている、と一紺は心の内で思った。
「気に入ったかい。蘇芳もどこかの部屋の紙花が気に入っていたっけねぇ」
紅梅が笑い、寝台に敷かれた布団に身体を預ける。
煙管を燻らせ、彼女は誘うような声色で一紺に言った。
「花が好きかい?なら…」
するりと、唇と同じ真紅の着物を脱いだ。白い肌が露わになる。
「…梅の花を楽しんでみないかい?」
紅梅は、その豊満な胸に刻まれた梅の花の刺青をちらつかせた。
ごくりと一紺の喉が鳴った。
吸い寄せられるように、仰向けになった紅梅の上にのし掛かる。
そして思い切ったように、目の前の熟れた果実を手で掴んだ。
柔らかく、捏ねる度に形を変える。その感触が何とも言えず気持ち良くて、一紺は楽しんだ。
「それだけ、かい?」
余裕を持った台詞。一紺は、紅梅を一瞥すると乳房に舌を這わせた。
「はぁッ…ん!」
くるりと乳頭の周りを舐め、焦らしたところでそれを弾く。舌はそのまま腹を伝って下腹部へ。
「ん…はぁ、上手いじゃないよ…蘇芳に似てるね、焦らし方」
一紺の舌は熱を帯びた秘所には触れず、下腹部から腿へと移動する。
そして舌を離すと、にやりと笑みを浮かべた。
「…たまにこっそり見てんのや、蘇芳のやり方。あいつ自分が女連れ込んでること、俺が知らんと思ってんねん」
「焦らし方は師匠譲りってわけかい」
紅梅も笑みを浮かべた。
一紺は再び乳房に手をかけると、躊躇いがちに問うた。
「…蘇芳とは、何回ヤったん?」
「さあね…あぁん、んッ、数えて…ないよ…」
一紺が首筋に舌を這わせる一方で、紅梅は一紺のものに手を這わせた。
「あうッ、あ…!」
「可愛い声を出すじゃないか…」
彼女がそう言い終わるか否か、一紺は仕返しとばかりに紅梅の秘所に右手を突っ込んだ。
「あ、あぁあ……ッ!」
「いつも、此処に蘇芳のもんが入っとんねや…」
十分に濡れたそこを、一紺は遠慮なしに掻き回す。濡れた淫猥な音は部屋中に響く。
実際一紺少年にとって初めて見る女性の秘部と言うものは、えらく異様だった。
しかしそこに自分が触れる度、掻き回す度に紅梅の艶やかな声が上がる。
濡れた音も手伝い、次第に見慣れ始めたそれは少年を興奮させた。
「ぐちゃぐちゃ言うとる。此処に蘇芳のもんを咥え込むんやろ?」
「んん、はぁ…んぁあッ」
(えらい熱い…指、どんどん入ってく…)
一紺は指を三本に増やし、更に紅梅の中を蹂躙する。
紅梅の肌はすっかり上気し、桜色に火照っていた。