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結界対者
【アクション その他小説】

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結界対者・第二章-6

 とりあえず、そこへ…… しかし手ぶらではなんだから、飲み物だけでも買ってからにする。
 一番空いている販売機で、ついでに間宮の分も。
 今朝、後で奢れとかなんとか言っていたから、今のうちに安く済ませるという算段のもとに、だ。

「よう」

 声を掛けると、間宮は極めて不機嫌そうに

「なに?」

とスプーンを握りしめたまま、こちらを睨んだ。

「なに…… って、ここに居るって聞いたからさ」
「誰に?」
「お前のクラスの、春日さんだっけか? 髪が長くて、優しい感じの」
「ああ、偽善者一号か」

 偽善者って……

「あ、あのなぁ!」
「無意味に親切な人間は、偽善者って呼ぶことにしてるわ。悪い?」

 悪いだろ。
 誰に訊いたって、それを良いという人間は居ない。

「良くないだろ、普通。 それに、そんな悪そうな人じゃ無かったぞ?」
「ふーん、アンタ、あんなのがタイプなんだ?」

 ニヤリと笑う間宮に、俺は思わず「っ、な?」と言いかけて言葉を止める。
 今は、この間宮の屈折した処世術について議論してる場合では無いのだ。
 気をとりなおして、とりあえず買って来た紙パックのコーヒーを差し出しながら、席に座る。

「ほら、飲めよ」
「なにこれ」
「今朝の分」
「今朝の…… ああ、バカ、いちいち真に受けるんじゃないわよ」

 とは言いつつも受け取って、なおも不機嫌そうな顔のままの間宮。
 よく見ると、その原因は、どうやら目の前のカレーライスらしい。

「この前、隣に座った男どもが絶賛してるから頼んでみたのにさ?
なによ、こんなの! お姉ちゃんのカレーの足元にも及ばないじゃない」

 そうだ、今朝も会話の途中で気になったが、コイツには姉がいるらしいのだ。
 だからどうしたという事は無いが、姉貴も同じように戦ったりするのか、とか色々と気になってしまう。

 戦い……

「そうだ! 俺、色々訊きたい事があったんだ」
「な…… なによ?」
「例えば、今日も昨日みたいに戦わなくちゃならないのかとか、あの化け物…… つまり忌者は何処から来るのかとか他にも色々……」
「今は嫌。めんどくさい」
「おぃ! 巻き込んでおいて、それは無いだろ!」

 間宮の態度に、迂濶にも声が荒くなる。
 そして、直後にそれを自覚した俺は、人前で結界だのなんだのの話をする事がマズイ事に気が付いて、慌てて辺りを見回した。

 聞かれていなかった…… か?


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