結界対者・第二章-19
「あのな……」
「な、何よ?」
言いかけた俺に、地面にヘタリこんだ間宮が、動揺の涙目線を向ける。
つい先ほど宙に体を游がせながら、忌者を撃ち墜としたとはとても思えない表情に、俺は思わず暫し唖然として、それから
「っ…… あはははははははっ!」
声をあげて笑ってしまった。
「何よっ、何がオカシイのよっ!」
「だってさ…… あはははははははっ!」
「もうっ、知らないっ! 放課後、おぼえてなさいよっ!」
間宮は赤い頬のまま、スクッと立ち上がり、銀時計を空にかざす。
そして
「バカ! そこで笑い死んでろっ!」
と言い棄てると、
「刻、転!」
と、力任せに叫んだ。
瞬間……
俺の、俺達の目の前には、おそらく此処に来た時と同じ様に闇が広がり、それが晴れた時には俺は……
元に居た日常、バカ元の授業が行われているの教室へと戻っていた。
授業は、相変わらず続いていた。
そして、そこでの俺は、先ほどと同じ様に相変わらず席に座って居た。
ただ、一つだけ違うのは……
不思議と、あの重苦しい欝々とした気分が、心の中から消えているという事。
『この世界で、自分の生まれてきた意味を知ってるヤツって、何人居ると思う?』
不意に間宮が、あの戦いの直前に放った言葉が、耳の奥に蘇る。
『私は、知ってる!それは、この戦いの為!
この瞬間の為に私は……』
思わず、窓の外に視線を向ける。
『生きているって感じるの!』
俺が生まれてきた意味…… か。
窓の外には微かな風が吹き抜け、青い空に一筋の雲が流れた。
続く