飃の啼く…第6章-4
「ふあ〜ぁ」
なんだか、飃が人間に戻ったことですっかり安心してしまった。何が起きても彼が守ってくれるという安心感は大きい。
のし…と、うつぶせの私の背中に重み。
「なぁに?わんちゃんごっこ?」
くぐもった声で言う。
「さっき。反応していたな。狼姿の己に。」
体を起こして振り返ろうとする。
「ばっ…!」
飃はしっかり押さえつけて放さない。
「とんだ妻だな。」
真っ赤になって何もいえない。だって、飃の鼻はごまかせないもの。
「う〜…ごめんなさぃ…」
「いや?俺のすべてを愛してくれているんだろう?文句などあるはずが無いではないか。」
熱い舌が、後ろから首筋をなぞる。
「っひ…!」
「今夜はいとしい妻の欲求を満たしてやるとするか…。」
低い声。耳元で熱い息と共に私をかき立てる甘い、言葉。
「にゃ…」
反論できない。する必要も無い。私がすることは、ただこの奔流に身を任せることだけ。
後ろから押さえつけられて、飃の顔が見えない…無理やり仰向けに振り返る。
「飃・・・?」
飃の大きな手が、私の目をふさいだ。
「己を犬だと思ってみろ…」
「そん……!ふぁっ」
犬のような舌使いで、胸の頂点を舐められる。執拗に、いやらしく。
「ひゃ…ぁん、飃…!」
答えてくれない。唐突に
「目を閉じていろ。いいな?」
そして、足の間に、温かい舌が差し込まれては、抜かれ、嘗め回される。視覚を制限されたせいで、ぴちゃぴちゃとみだらな音が敏感な耳に届く。
「ぁぅ…っあ…」
息が荒い。私のと同じくらい荒い息が、耳を愛撫する。
「うつぶせに。」
明白な命令。犬になったのは私のほうみたい。前触れも無く、身体の中に飃が入ってくる。
「……!」
つんのめった私の背中に、飃の胸板が重なる。
「や…っあ…!」
激しい動き。振動で、衝撃で、快感で、壊れてしまう。
「や…飃…きちゃ、もうきちゃぅょ…!」
答えてくれない。そして、そのまま波が訪れ、私一人恍惚の海に投げ出された。でも
「ゃ…飃っ…ちょ、まって…!」
飃は止まってくれない。敏感な身体には、飃のスピードは刺激が強すぎる。