甘辛ニーズ-3
その夕暮れ時。
私はある物を手に持って、ショウちゃんの家を訪ねました。
ピンポンフックを鳴らすと、軽やかなメロディーが流れました。アレ結構好きなんですよね。
メロディーが鳴り終わってから十秒後、ドアが開きひょこっと顔を出すショウちゃんが見えました。
この時点で私は失禁寸前でした。だって可愛すぎるんですもん。
猫ですかと。ハムスターですかと。
「…今勉強してたんだけど」
ちょっと不機嫌なご様子のショウちゃんに対して、私はこう言いました。
「勉強?保険の勉強ですかあ?いやん、ショウちゃんも男の子ですね。とりあえず私と愛のお勉強でもしましょうか」
するとショウちゃん、何をしたと思います?ドアを閉めようとしたんですよ。
そこで透かさず、足を中に踏み入れました。
「冗談です。本当は一緒に花火でもしようかと思って、誘いに来たんです。ほらっ」
持っていた数々の花火セットを見せると、渋々と開けてくれました。
そう、花火。夏の風物詩です。近くのコンビニで買った安物ですが。
今は夏ですし、やっぱり年に一回はやりたいじゃないですか?
「なんで僕となんだよ」
「好きだからに決まってるじゃないですか。乙女心に鈍感すぎです」
まあ予想通り、ショウちゃんは可愛い表情を作ってくれました。
いやーマジで癒されますよ、最高ですね。ショウちゃんだけで軽くショゥトケェキ十個はいけますね。…洒落じゃないッスよ?
「そっ、それ以前にまだ夕方だろ!暗くもなってないのに…晩ご飯とかどうするんだよ?」
「もち、ここで!」
「……」
「べ、勉強、教えてあげますから。ね?」
…ショウちゃんの部屋で云々あって、今に至りまする。
云々の部分は各自妄想力でカバーして下さい。
「食べ終わってから、ショウちゃんとウフフな展開が……これは鼻血モノですね」
「………」
もくもくとご飯を食べ続けるショウちゃん。
…無視されました。放置プレイは嫌いなのに…。
修正し辛い雰囲気です…。
スベったお笑い芸人みたいですけど、どうしましょうか?
「……しょ…ショウちゃんって、スゴいですよね。ちゃんとしたご飯を一人で作れちゃうんですから」
「…」
「この卵焼きなんて、まるでショウちゃんみたいに輝いてて…はう…食べるのも勿体ないくらい…あ、いや、寧ろ食べたいです」
「……」
おおっと、見る見る内に顔が赤くなってゆきます。
私の言葉責めに耐えられる輩はいませんからね。
では、トドメを。
「…こんなにも豪勢な料理を私の為に毎日作ってくれたら、幸せですのに…」
「っ!」
よっしゃあ!クリティカルヒット!こうかはばつぐんでありまする!
「…あのさ」
「?」
「普通…反対じゃないか?」
………えと。
…これは……その……。
「……ショウちゃん…」
さすがの私も、恥ずかしいのですが、こう…面と向かって言われると…。
「私、嬉しいですっ!」
「は!?」
嬉しすぎて、思わず脊髄反射で抱きついてしまいました。