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甘辛ニーズ
【コメディ その他小説】

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甘辛ニーズ-2

「他人の家の押し入れで遊ぶ女なんて見たことねーよ…」
「いやあ、私、押し入れ大好きっ子なんですよ。あの暗い空間がたまらんのです」
「…さっき暗い所は嫌いだとか言ってたけど」
「ああ。あれは雰囲気を醸し出すための設定です。ただのセッテイ。…って、もしや最初からずうっと聞き耳を立てていたんですか!?ショウちゃんったら、やらしい方ですね。痴愚を繰り返す思春期少年ですか。いやんばかん」
「………」
 あ、なんか危ない視線を感じるので、ここで区切りましょう。

 このエロティックオーラを放つ少年は、佐々見将太(さざみ しょうた)
 私とはアダムとイヴの様な関係…じゃなく、友情という名の鎖で繋がれている関係なのです。
 端から見れば当然の如く、カッコいい少年です。
 しかしですね、私から見れば少しばかりママのミルク臭を感じさせるまだまだ甘いがきんちょなのです。
 でも、そこが可愛くて可愛くて…。
 アレです、ボセーホンノーってヤツです。
 …馬鹿にしてますね。私だって完璧な人間で完璧な女性ですよ。ボセーホンノーくらい漢字で書けます。
 もう本当にヤバいですよ。ショウちゃんの為なら、ミルクも出せそうってくらい可愛いんです。胸がきゅんきゅんしてついつい襲いたくなる衝動が出ちゃいますが、病気じゃないんです。これが普通です。ショウちゃんマンセー。
 そもそも出会ったあの日から、私はショウちゃんに惚れていたのかもしれません。
 っとと、趣旨がズレてしまいました、失礼。その話はまた後で。


 ……で!今日、私はショウちゃんの家に遊びに来ています。もう夜ですが。
 なぜかというと
「ん?なにボーッとしてんだ?ほら、ご飯粒ついてるぞ」
「……え?あ、はい」
 っ…これは反則です。間違いなく反則。
 解説中(食事中)なのに、ハートがきゅんきゅんしてしまいます。ショウちゃん…狙ってますね?
「…ショウちゃんも、ご飯粒、付いてますよ?」
「えっ!?」
 驚き、両手で顔中を触るショウちゃん。
 高校生にもなって…私を悶え殺す気ですか。


「ココですよ、ショウちゃん」
 そう言って私は、ショウちゃんの小さな唇に軽くキスをした。
「一粒の白米。取れましたよ」
「……あっ……!?」
 するとショウちゃんは、顔全体を真っ赤にさせて俯いてしまった。
「米って甘いんですねー。初めて知りましたよ」
 …そう、甘いのだ。
 だから、もう一度だけ。
「…ショウちゃんショウちゃん、顔上げてこれを見て下さい」
「……?」

 聴こえたるは、重なる音。

 不意打ちでも、この甘さを知りたかったから。
 ショウちゃんの蜜が欲しかったから。



 人間って恐ろしい生き物だと思いませんか?
 妄想という名のユゥトピアを作り上げちゃうんですよ?
 …非常に恥ずかしいです。新手の羞恥プレイですか。
「…おーい?」
「……ははわっ!?」
 こういう状態の時にいきなり話しかけられると驚いちゃいますよね。
 引いて引いて押すって作戦ですか。やりますね、ショウちゃん。
「なんだよ。変な奴だな」
 どうやらショウちゃん、口元に付いていた米はとっくに取ってしまったご様子。
 ……話を元に戻したいので、深呼吸。すーはーすーはー。

 さて、最早説明も面倒くさいので、お約束の回想シーンでもしちゃいましょう。


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