ツバメJ-2
あの日だ。
鷹くんが燕と話したとき。
あのとき、何かがあったんだ。
つき止めなきゃ。
あたしは鷹くんと付き合いたいから。
直ぐさま燕に電話をかけた。
めずらしく、燕はすぐに出る。
「……なに?」
『合コンじゃないんだ。毎週土曜は合コンでしょ?』
「……合コンなんてしてないよ」
『へえ、めずらしいこと』
頭の中は冷静でも、口がパニクって言いたいことが見つからない。
なぜかいつもの皮肉しか言えなかった。
「……用は?それだけ?」
その燕の冷めた一言で、あたしは吹っ切れた。
『……あんた、鷹くんに何言ったの?』
「……なにって?」
『この間よ!鷹くんに会ったでしょ!あのとき!』
「……」
『……』
「彼に聞いてないの?」
『聞いてないわよ……あんたは……あんたはなんでいつもそうなの……?邪魔しないでよ……』
「……泣いてるの?」
気付けば涙を流していた。
なんだかすごく悔しかったから。
「……ごめんね、でも、俺の口からはまだ言えない」
『……』
言い返せなかった。
本当にあの日のことが原因なのだろう。それだけはわかる。
「……椿芽」
『……なによ』
「ごめん、もう少し、待ってほしい」
『……』
「今はなにを言ってるかわかんないだろうけど……わかるときが来るから」
本当に悔しかった。
全くわけが分からないから。
あの日、二人は何を話したの?
あたしはどうしたらいいの?
あたしは、燕と鷹くんの二人が離れていくことを全く考えてなかった。
今まで、ずっとずっと燕がいてくれた。
燕が離れて、鷹くんがいてくれた。
だから、二人がいない自分が考えられない。
気付けば、電話は切れていた。
あたしは、ただただ胸が苦しくて死にそうだった。