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例えばそれが、夢である必要
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例えばそれが、夢である必要-8



高橋が死んだ。
高橋が死んだんだ。
アイツの寂しい眼を思い出して僕は泣いた。
とたん、僕の中の、高橋との関係をつかさどる全ての物、または出来事が、僕の中を駆け巡った。それは脳の最深部を暴れ回り、左心房をかきみだし、僕と名がつく全ての物を壊そうとした。右の手先から、左の足先、例えば髪の毛の一本一本までを瞬時に走り、そして大声をあげ何かを叫んだ。 その声はユーラシア大陸のどこかまで響き渡る勢いで、僕の頭蓋骨を揺さぶり、ピサの斜塔をさらに傾かせる強さを持って、僕の心臓を強大に殴った。深海の様な深さを持った闇を広げ、それによって泣く僕を罵り続けた。かつ、的確な光を高橋に与え続け、それが僕を哀しませるのを知っているかの様に笑った。
午前7時の事であった。

僕が僕の中で、高橋が死んだ事で狂っている間も、世界は何かを中心に回り続けていた。 信じられない事に凄まじいまでのスピードを持って、高橋が死んだという報は様々な所に渡り、今や報道陣が動きだしていた。 無論、警察関係も活動を開始している様で、すぐさま僕の所にも警察官が現れた。
僕はその事に、大きな憤りを感じた。

高橋が死んだんだ!
高橋が死んだんだぞ!?

僕の中で沸々と煮えたぎる五臓六腑。僕は心底、現れた警官を殴りたかった。何故高橋の事をそんなに知りたがるかが、僕にはわからなかった。
所詮彼らにとっては、高橋の死は仕事の一部でしかないはずた。 そう思うと、僕のハラワタはおかしい程熱を持つのであった。
僕は警官に何を聞かれても「知らない」を通し、僕の意見を聞かれれば「わからない」を通した。
午前9時の事であった。

警官との応対が終わった時にクラスメートから電話があり、文化祭が中止になった事が伝えられた。
僕は家に戻り、様々な事を考えた。それはもう、ずいぶんと時間をかけて。
それがつまり、僕が高橋に出来る全てであった。

ずいぶんと時間をかけて考えた。



青山 京子に出会った。
警察の連中が帰ったずっと後に、彼女は家に現れた。

文化祭が中止になった事実は、僕にとってはありがたかった。事実、僕は混乱をしていたし、正直の所、今文化祭行事を見ても、全てがストレスの原因になりそうであった。誰の顔を見てもイライラするのは目に見えていたし、そうなった後の事が僕は怖かった。そんな荒んだ気分で高橋の事は考えたく無かった。
そんな中、彼女に出会ったのはたぶん、神の気まぐれであろうと僕は思う。決して高橋が、僕らを引き合わせてくれた訳では無いと、そう思いたかった。決して高橋では無いと、そう思いたかった。


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