年上の事情。‐2-1
休日。
いつもよりゆっくりの朝。コーヒーメーカーをセットする。
鏡で自分の姿をチェックする。
昨日遅くまで飲んだのが、むくんだ顔に表れている。
カーテンを開けると眩しいくらいに陽が入ってきた。いい天気だ。
「よしっ!」
あたしは気合いを入れて、朝仕上がるように回しておいた洗濯機から洗濯物を出し、干し始めた。
ピンポーン――…
ちょうど洗濯物を干し終えた時だった。インターホンが鳴り、あたしは玄関に向かった。
扉を開けるとそこに立っていたのは、すっぴんでラフな格好をした香ちゃん。
「おはよー」
「おはよーございまーす、いいですかー?」
「どうぞぉ」
あたしは香ちゃんを部屋に通した。
実はこれは休日にはよくある光景で…
香ちゃんとは同じマンションで、なんと部屋を隣同士に借りて住んでいるのだ。あたし達はよくお互いの部屋を行き来する。
今日、なんで香ちゃんがうちに来たのかはなんとなく分かる。
「先輩何時に起きたんですかー?」
ベランダで揺れている洗濯物達を見ながら香ちゃんが聞いた。
「んー?さっきだよ」
「あたしもですよ。ちょっと昨日は飲み過ぎましたねぇ」
あたしはコーヒーを2つのカップに注いだ。
そのコーヒーに砂糖を入れて香ちゃんは飲んだ。
あたしも一口飲む。
「先輩‥別にあたし、へこんだりしてないですからね。先輩にいじわるとかしないですから」
そう言ってニカッと笑った。
昨日新人の歓迎会があり、そのとき何となーくだが香ちゃんが気に入ってる新人の立花くんが、あたしに好意を持ってそうな感じだったのだ。何となーくだが。
「でもまだそうとは決まってないし、何にも言われてないし…」
あたしは答えた。
「まぁですよね!
あたしもまだそんな真剣じゃないし、好きな人が別の人を好きでもそんな驚かないし…。
もしそうだったらあたしは先輩よりいい女になるだけですよ!」
「なんだそれ。…まぁでも香ちゃんらしいね」
そう言ってあたしたちは笑った。
きっとこのことを言いに来たのだろう。