刃に心
《第24話・忍者探偵忍足疾風の事件簿〜お調子者を殺したのは誰か?
次々と明らかになる友の暗い心。
まさか犯人はこの中にいるのか?
果たして疾風は友を疑えるのか?
『湯煙温泉彼方殺人、
尚、今回のタイトルは本編と一切関係ありません事件』》-4
◇◆◇◆◇◆◇
「───という訳で車出して欲しいんだけど」
「嫌や」
七之丞はあっさりと言うと、煙草に火を着けようとマッチを擦った。
「おっと…」
だが、楓がいたことに気付き、マッチを振って火を消した。
「七兄」
「嫌や。何でわいがそないに面倒なことをせなあかんねん。そないな時間があったらネトゲーしとるわ」
煙草を箱に戻すと、火の消えたマッチを半分に折り、近くにあった灰皿に捨てた。
「と、いう訳で嫌や」
帰れ、と言うように七之丞は席を立とうとする。
「…女子高生も後、5人くらい来るんだけど」
ピクリと七之丞の動きが止まった。
「…温泉と女子高生」
ピクッ。
「…湯煙と女子高生」
ピクピクッ。
「…女子高生」
だめ押しの一言。
するて、七之丞はゆっくりと座り直した。
「旅行もええな」
◇◆◇◆◇◆◇
そこから先はいとも簡単に話は進んだ。
車については七之丞が手配するらしい。
当日になれば、疾風の家まで迎えに行くと七之丞は言った。
「ほな、楽しみにしとき。ええなぁ…女子高生、響きがええわ」
帰り際に七之丞は軽くアブナイ発言をして、すぐに家の中に引っ込んだ。
◇◆◇◆◇◆◇
そして、当日。
「おはよ!」
「おはようッス!」
「おはようございます」
「おは」
「よう」
少しずついつものメンバーが疾風宅前に集まってくる。
集合時間は10時。
その5分前には全員が揃っていた。
「いやぁ、凄いね疾風君は!懸賞で温泉旅行を当てるなんて!」
相変わらずのにこやかスマイルを浮かべた希早紀が言った。
思わず疾風と事情を知っている者達は苦笑した。
「そうッスよ!疾風先輩は凄いんッスよ!」
希早紀に負けないくらいの笑顔で眞燈瑠が言った。