飃の啼く…第3章-9
ようやく家に着いた。
ドアが閉まるや否や、飃が私を抱きあげて言った。
「自分だって我慢できないのだろ?」
かあっと熱くなる。
「そ…そんなこ…」
ちっちっ、と飃が舌を鳴らす。
「お前の夫の嗅覚は…」
「だーっ!わかったわよ!想像してたわよ、わるい!?」
照れ隠しに声を荒げてみる。
「己もだ。」
私を抱き上げたまま、耳元で囁く。ゾクゾク、と、頭の先からつま先まで、電気が走る。飃が、そのままベッドルームに連れて行こうとするので
「ねっ、ねえ!」
「ん?」
「お風呂はいんなきゃ…」
飃は不服そうな声を上げる。が、しぶしぶOKしてくれた。まあ、当たり前といえば、当たり前だ。汗かいたし。
「ふい〜♪」
温かいお湯につかって、生まれ変わったような気分に浸っていると
「おそい。」
いきなりドアを開けて、飃が入ってきた。しかも全裸。
「ひゃあっ!ちょ!まだ終わってないっ!」
手のひらで目を覆い…指の隙間からちらっと覗く。ひゃぁ…
焦る。明かりの下で裸を見られるのは初めてなのだ。明かりの下で見るのも…。
「身体は洗ったか?」
飃が、浴槽の中の私の体の上にかがみこむ。
「洗ったけど…ぉ」
「我慢の限界だと、言わなかったか?」
首筋の水滴を舐めとりながら、聞く。
「言って…なぃ…よ…ちょっと、今身体、拭くから…」
「待てん。」
言って、浴槽の中に入ってきた。
私の後ろに滑り込むと、かなりのお湯が浴槽からあふれた。でも、それが気にならないくらい、飃は私をのぼせさせた。
狭い浴槽の中で、身体が密着する。腰に、そのお湯よりも熱い飃のものが当たっている。
「んっ、ふっ…」
飃が、私の胸を撫でるたび、喘がずにはられなくなる。浴室の中に、自分の嬌声が響いて、いやらしい。
身体を、大きな飃のそれに預けて寄りかかる。
「っあ…は…ぅ…」
手が胸、舌が首筋を攻める。甘噛みから逃れるように身をよじる私は、飃の両足に挟まれて身動きが取れない状態だ。
熱い息がかかり、すべての毛を逆立たせる。
飃の手はいつの間にか下半身に伸び、私の中にそっと侵入して来る。