飃の啼く…第3章-10
「ひぅ…!」
「あまり締め付けると、指が折れる。」
飃の低い声が反響して、余計に感情を掻き立てる。
「ん…ばかぁっ…」
もう、お湯の熱さと快感で、意識が朦朧とする…そんな私を見かねて、私を湯船の外へ出してくれた。されるがままになっていると、私を向かい合わせにし、長く官能的なキスで目覚めさせた。
「ふ…ぁ…」
キスで問いかける。
「ん…」
キスで答える。
浴室の床で、私は四つんばいになった。飃は、ゆっくりと私の中に入ってくる。
「…っあ…!」
怖いほど、私の体は喜んでいる。
飃が、かがみこんで背中に舌を這わす。突然の感覚に身体が弓なりになって反応してしまう。
「ひ…ん……ぁぅ…っ」
卑猥な音が増幅される。そして、その音までも、私をさらに高まらせた。
「はぁ…っ、ぁ、っ…ぅ、ん」
だんだんと、押し寄せる波がリズミカルになる。
「だめっ、飃っ…かお、みた…ぃ」
いきなり、私の中の飃が消えた。何も言わず私を抱き寄せて、私をひざの上に乗せた。
再び滑り込んできた快感にびくっとする。
「あふ…ぁ、ぁ…」
キスでも喘ぎ声を隠せない。あまりに深くまで届きすぎる。
「さく……っ…!」
「く……飃…っ」
ひときわ大きな突きが、私の意識ごと刺し貫いた。
しばらく頭が真っ白で、私はただ身体をびくびく震わせながら、飃にしがみついていた…。
こんな体験をした後で、どうして学校に行けるだろう?と、自己完結して、ベッドにもぐった。
「なあ、さくら…」
飃の声は、聞こえていたけど、返事が出来ないほど眠かった。
「己は紳士的な男ではないが…お前のこと、大事にするからな…」
眠りに落ちる直前まで、飃が頭を撫でてくれていたのを、覚えている。